2024年9月25日発行 第49号 季刊『くらしと協同』 2024秋号
2024年総会記念シンポジウム―生協・協同組合における人づくり
くらしと協同の研究所が発行する『季刊・くらしと協同』のバックナンバーです。
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災害に強い社会を目指して-最新の取り組みから学ぶ
地震や豪雨、洪水、土砂崩れ、台風など私たちのくらしを脅かす災害は、当たり前ですが、時や場所を問わず、やってきます。そして、そうした災害はとくに、弱い立場にいる人々のくらしを直撃することが多いです。行政が抜かりの無い迅速な対応をしてくれるのであれば、少しは安心できるかもしれませんが、2024年の元日に起こった能登半島地震で被災した人々の状況が表しているように、行政を全面的に当てにすることは現実的ではありません。… ...続きを読む 特集扉
国際協同組合年、再び
2023年11月3日、国連は2025年を2回目の国際協同組合年とすることを総会で宣言した。国連が定めたテーマについて、各国が1年を通じて、市民への啓発などを進めるのが国際年であり、協同組合は2012年に次いで、再び国際年のテーマとして選択されたのである。… ...続きを読む 特集1扉
生活の中の化学物質を問う
私たちの身の回りには多くの化学物質が溢れています。化学物質というと(1)人類が目的をもって生み出した合成化学物質、をイメージする方が多いと思いますが、この他にも(2)人間の活動により非意図的に生成される化学物質、(3)自然界にもともと存在する化学物質、(4)自然が つくりだす化学物質があります。… ...続きを読む 特集扉
生協産直は酪農の危機を救えるのか?
2023年2月14日、参議院議員会館講堂において「酪農・畜産の危機は国民の“食”の危機!農を守ることは命を守ること ―日本から畜産の灯を消すな」という院内集会が開催されました。ここでは酪農家たちから、生乳を廃棄せざるを得ないことや、生まれたての子牛の息を止めなければ経営できないことなど、深刻な現状が報告されました。しかし主流メディアの多くは、このような実態を報道していないため、この事実を知らない人が多いのではないでしょうか。… ...続きを読む 特集扉
協同の力を生かした「子育て」の支え方
2017年、中央公論新社が主催する「新書大賞」において、吉川洋氏の『人口と日本経済』が第2位となった。人口減少という切り口から、日本の経済成長を考える同書が大きな話題を呼んだことも示すように、人口減少は10年以上にわたって語られてきた中長期的なテーマである。 この人口減少という問題を考える上で、少子化や子育てという論点を避けて通ることはできない。事実、少子化を解決するための子育て支援は、昨今話題の「異次元の少子化対策」以前から進められてきた。それにもかかわらず、マスメディアやSNS上において、子育ての困難を訴える声は、今もあがり続けている。… ...続きを読む 特集扉
くらしに寄りそった情報伝達とは
私たちの生活において、様々な情報を提供してくれるメディアはなくてはならない、「インフラ」のような存在と化しています。しかし、メディアは私たちのくらしに関わる情報をどの程度まで詳細に伝えることができているのでしょうか。 総論で佐藤氏が指摘しているように、メディアは「広告媒体」であり、影響力の最大化が第一の目的だという性質があります。そのため、基本的に主要メディアが報じるニュースは、商業主義に合致し、一瞬の熱狂を煽り、注目を集めるような内容に偏ってしまう傾向にあります。… ...続きを読む 特集扉
2022年総会記念シンポジウム―協同のネットワークを地域でどう創るか
昨年の総会シンポジウムは「東日本大震災と協同組合」をテーマに開催しましたが、この中で示唆されたのは、地域における協同組合が孤立して活動するのではなく、多様な主体とかかわりあうことの重要性でした。コロナ禍に留まらず、今年もいくつも の自然災害が相次ぎ、また国内では少子化が急速に進むなど、改めて持続可能な地域を模索する必要性が高まっています。… ...続きを読む シンポジウム扉
個性を認め合える社会とは
生物学者の福岡伸一先生によれば、基本的人権は個々の生命の価値である(本誌『ポストコロナの生命哲学』書評参照)と生物学の視点から基本的人権を定義しておられ、それを尊重しあう社会をどう築いていくかが重要であると考えられます。助け合いや協力、共感を大事にする協同組合は、他者への寄り添い、配慮、やさしさがなければ、事業や運動を進めることはできないため、基本的人権を尊重することを忘れてはなりません。… ...続きを読む 特集扉
コロナに克つⅡ~つながりを紡ぎ続ける
新型コロナウイルス感染症の世界的流行がはじまってから、3 度目の春を迎えた。コロナと向き合ったこの2年間を振り返ると、私たちがもっとも戸惑ったことの一つは、コミュニケーションの制限ではなかっただろうか。 … ...続きを読む 特集扉
発電を通じた地域活性化への挑戦
2011年3月11日の東日本大震災から早くも10年が経つ。しかし、震災から10年が経ちながら未だに生まれ故郷に帰れない人々や、元の生活や生業を奪われたまま戻れていない人々が存在する。その主な要因となったのが福島第一原子力発電所の事故である。事故は人々の原子力発電に対する信頼を大きく揺るがすことになった。 … ...続きを読む 特集扉
2021年総会記念シンポジウム―東日本大震災と協同組合
甚大な被害をもたらした東日本大震災から10年が経ちました。しかし、復興庁の設置期限の延長が示すように、被災地の復旧・復興は道半ばです。加えて、2020年から続く新型コロナ禍の下で、様々な社会的リソースがコロナ対応に割かれ、震災からの復興・復旧や被災地の現状といったテーマの報道も、必ずしも多いとは言えない状況です。… ...続きを読む シンポジウム扉
生協入門
2019年末に発生した新型コロナウイルス感染症の世界的流行によって、私たちの暮らしは一変しました。感染症の拡大防止のため、ときに日常の買物すらままならないという、それまでの日常からは想像しがたい状況が現れました。そうした中で、にわかに活況を呈したのが食品宅配市場であり、地域生協の利用・加入も大きく伸長しました。… ...続きを読む 特集扉
手ざわりある情報技術の使い方
すでにあちこちで言われ尽くされていることだが、近年の情報技術が進歩するスピードは目覚ましく、私たちの生活のなかにも知らず知らずのうちに、しかし急速に、入り込んできている。… ...続きを読む 特集扉
サステイナブル・コミュニティ=やさしく、しなやかに続く地域をつくる
地震、台風、豪雨、熱波、停電、断水、そして新型ウイルスと、このところ日本列島は立て続けに大惨事に見舞われている。否、それは全世界共通の現象であるともいえるだろう。異常気象やテロリズムなど、大規模な天災と人災が人々の生活を根底から揺るがす事態が、世紀の転 換とともに世界中のあちこちで日常的な光景になってしまったのである。… ...続きを読む 特集扉
多様な立場から考える食の科学技術-ゲノム編集技術に着目して-
科学技術開発が加速的に進められるなか、一般市民はその仕組みを知らずに生活に取り込んでいることが多い。新しい技術によって生活が向上するかもしれないし、逆に社会や人間を崩壊させていく可能性もある。… ...続きを読む 特集扉
新たな時代の、新たな流通 生協は何に、どう対応すべきなのか?
大昔の人類は、他の野生動物と同じく、自分たちが必要とするものは自分たち自身で獲得し、あるいは生産し、それを消 費していたのであろう。「自給自足」の経済である。 ところが人間は賢いから、やがてそれを他の集団と交換することを覚える。 「物々交換」によって、自分たちだけでは手に入らないものを入手することができるようになっただろう。山に住む人々であっても、海の恵みである水産物を口にすることが可能となるのである。… ...続きを読む 特集扉
「公」から住民主体による「民」へのとりくみ
総論では民営化について、市場経済や公共性という観点から捉えることとしたが、特集では、実際に民営化がどのように進められているのかを、複数の事例を取り上げて紹介したい。本特集では、民間営利企業に委託された民営化ではなく、民営化された財やサービスの必要性を感じた地域住民が主体的にそれらを事業として管理・運営するようになった事例を取り上げることとした。… ...続きを読む 特集扉
創り、支え、広げる「わたしたち」のくらし
民主主義とはどのような仕組みか、という問いに対して、すぐに思い浮かぶのは、おそらく「みんなで話し合って、最後は多数決で意思を決定する仕組み」とでもなろう。この回答が間違っているわけではないが、ここには民主主義の難しさも潜んでいる。… ...続きを読む 特集扉
事業体と持続可能社会への模索
近年、協同組合や企業のCSRレポートに見られるように、災害支援・環境活動・倫理的な消費行動・地域社会への貢献などが強く求められるようになってきている。2015年国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)は地球という視点で個人・事業者・政府が行うべきとりくみを提起している。… ...続きを読む 特集扉
協同組合間協同、そしてその「先」
…半世紀を経て、「協同組合間協同」にはさまざまな課題が指摘されている。協同組合の合併による大規模化こそが組合員の協同組合離れ、そして協同組合の組合員離れの原因ではないか。同じ協同組合同士といっても、消費者の協同組合の利害と生産者の協同組合のそれとは正反対ではないか。そんな意見さえ飛び交うのが協同組合の現場である。… ...続きを読む 特集扉
組合員を惹きつける生協の「編集」
一定の方針にしたがって、資料をあつめて整理し、書物にまとめることを「編集」と呼ぶ。これを比喩として用いれば、様々なものが「編集」の対象となる。ネットの普及によって流通する情報量が膨大になるにつれ、「編集」は経営にとって欠かせない要素になっている。… ...続きを読む 特集扉
「やりがい」を感じることができる職場を考える
…今回は、やりがいをもって働くことができるように試行錯誤されてき企業の人事制度や研修制度について紹介する。まずは、パンを通してくらしを提案する株式会社広島アンデルセン様。… ...続きを読む 特集扉
格差社会と生協
…「生活を協同する」組織だとみずから名乗る生活協同組合は、この格差社会において何ができるのか。究極の格差社会である産業革命の時代に誕生した協同組合が… ...続きを読む 特集扉
組合員と生協とが出会う「場所」
…本特集では、インターネットに限らず、さまざまなカタチと方法で組合員同市、あるいは職員と組合員、そして生協と組合員を結びつける「場」について紹介する。もともと生協は… ...続きを読む 特集扉
社会問題に挑む研究所
座談会では、協同組合、とりわけ生活協同組合に関わる研究所のあり方について議論した。そこでは、研究所と生協や組合員との関係、研究の「社会化」、研究所の「見える化」、他学会等との連携、情報発信の強化など多くの課題も出されたが、研究所の役割についても深めていただいた。…読者の方々にも、研究や研究所の役割や課題を一緒に考えていただければ幸いである。 ...続きを読む 特集扉
いま、農協はどうなっているのか?~協同組合としてのJAに学ぶ
…しかし同じように、協同組合として、農協の事業と運動には他の協同組合でさえ見習い、学ぶべき点が多々あるように思われる。「産直牛乳」をめぐって、生協とともに農協は何を成し遂げてきたのか。「酪農」によって地域の社会と経済を守ろうと、先進的な農協はいかに奮闘しているのか。…...続きを読む 特集扉
できることを活かすソーシャルインクルージョン
…特集においては、障がい者や高齢者が住みやすい、あるいは働きやすい社会がどのようなものなのかを検討するために、インクルーシブデザインという考え方とその実践例、障がい者雇用に取り組んでいる事例や、高齢者施設の中でも地域通過を利用しているユニークな事例をご紹介させていただくこととした…...続きを読む 特集扉
事業における「協同」の多様性に学ぶ
地域の抱える様々な課題が深刻化する中で、生協はそれらと向き合い、解決する主体として一定の期待を集めてきた。買物難民やフードデザート、地域の高齢者の見守りや子育て支援、あるいはコミュニティの維持といったように、その課題は多様であり、解決に向けた実践もまた多岐にわたる。他方で…...続きを読む 特集扉
大学生協の変還と新たな可能性
…一昔前とは、大学も大学生も大きく変わってきていることが窺える。この状況下において、大学生協は大学や大学生とともにどのような事業運営や活動にとりくんでいくことができるのだろうか。まずは、大学生協の変還を知るために ...続きを読む 特集扉
地域の拠点としての生協店舗
小売業は、いかに世の中がグローバル化しようとも、地域に存在し続けることができる数少ない産業といわれてきた。安い労働力を求めて世界中を移動し続ける製造業と違って、商業は地域の消費者から離れては存続できないのである。その前提がネット通販の普及・拡大で、崩れようとしている。… ...続きを読む 特集扉
いま一度考えるごみ問題
日本は高度経済成長期を経て、 私たちのくらしを豊かで便利なものにしてきた。 しかしその反面、 大量生産システムを前提とした大量の商品が生産・流通・消費・廃棄される社会が形成されてきた。大量に排出されるゴミに対処するため、 各自治体でゴミの分別や回収の有料化が進められた。 また… ...続きを読む 特集扉
"CO-OP"と「商品」の現在地
私たちの身の回りには多種多様な「商品」や「ブランド」が存在する。その中から、時と場合に応じて必要なものを選択しながら、私たちは日々くらしている。そうして繰り返される選択を経て、長い間愛されてきた商品は生協にも数多い。...続きを読む 特集扉
70年前から協同へのメッセージ
…特集では、戦前・戦中の消費組合に関する研究者や、実際に戦争を体験した生協人にご登場していただき、当時の様子から、現在の生協について、考えみたいと思う。… ...続きを読む 特集扉
社会活動を地域のしごととしてつづけるには…
社会的課題を解決するために、協同組合だけでなくNPOや信用金庫など、多くの非営利団体がコミュニティに関わる社会活動に取り組んでいる。新しいタイプの取組みが登場すれば、先進事例としてメディアや研究雑誌に取り上げられるが… ...続きを読む 特集扉
協同組合が結ぶ「つながり」の今
高校生や大学生にSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)の利用状況を尋ねてみれば、ほぼ全員がLINEを使っていると答えるだろう。Twitterにいたっては、一人で複数のアカウントを持っていることも珍しくない。彼らはアカウントごとに、顔見知りの友人、趣味の仲間、そして見知らぬ他者とつながっている。 こうした傾向は若者に限った話ではない。モバイル機器とインターネットの普及によって、私たちは時間や場所を気にすることなく、多くの他人とつながれるようになった。 「つながり」が増える一方で… ...続きを読む 特集扉
生産者からみたパートナーとは?
農魚産物といった一次産品を取扱うマーケットが多様化していることは、日本全国どの地域においても感じることができるのではないだろうか。農魚産物直売所、道の駅、インショップが急増している。消費者にとっては、地産地消という点や近くにいる生産者が作ったものという安心感、そして安さが利点になっていることが多い… ...続きを読む 特集扉
こだわり店舗の顧客サービス
大量生産、大量流通、大量消費社会が目指された高度経済成長期は、安全基準もあいまいであり、安心して購入できるものを見つけることが困難であった。そんな時代、生協は産直を展開し、独自基準を設け、コープ商品を開発するなどによって、安全・安心な商品を組合員に提供することで大きく進展した。… ...続きを読む 特集扉
「ブラック生協」にならないために~人事システムと職員教育を考える
匿名掲示板などネットの世界では、「この企業はブラック企業だ!」という文言が散見される。そこにはいい加減な情報もあれば、悪意を持った書き込みもあるだろう。インターネットは魑魅魍魎の世界、ああいうものは気にしないのが一番だ、という人も多い。しかし… ...続きを読む 特集扉
リトル・コミュニティの社会経済学
効率性を追求し、大量生産で豊かな世界を目指した時代に、「スモール・イズ・ビューティフル」と訴えたのはE・F・シューマッハーだった。彼は化石燃料を大量に消費する社会はいずれ危機を迎えると予言し、科学万能主義にもとづく工業化社会に警鐘を与え ...続きを読む 特集扉
パーティって何?
日本の生協の特徴として注目されてきたのが「班」である。日本の生協は、宅配事業において班を活用することで急速な成長を実現した。班は事業拡大に貢献しただけでなく、組合員同士の「絆」づくりの拠点としても機能した。たとえば、「班会」などの機会を通じて、 ...続きを読む 特集扉
生協と「文化」
生協をはじめとする日本の協同組合運動の特徴は、その多くが「食」の分野にかかわり、その安心・安全を追及していることであろう。特に消費者の協同組合である生協は、「生活」の協同組合といっても何と言っても「食生活」がその中心だったということができる。しかし ...続きを読む 特集扉
地域に愛される店とは?
「店」にはさまざまな魅力がある。たとえネット通販が飛躍的に発達したとしても、「店」が全く存在しない街が繁栄し、近隣からも大勢の人びとがそこに集まるようになるとは、ちょっと想像ができないだろう。もしかしたら、「商い」というものとは全く無縁の ...続きを読む 特集扉
国際協同組合年なう。「協同組合の10年」を見据えて
失望の声も聞かれる。こんなものだと思っていたという、あきらめの声もある。2012年、すなわち国連総会が定めた「国際協同組合年」がまもなく暮れようとしている。しかし、生協をはじめ日本の協同組合陣営は、達成感には程遠い状況にあるというのが率直な ...続きを読む 特集扉
生協の合併 是か否か。
戦後日本の生協運動は、地域に密着した組合員中心の組織と事業をつくりあげてきた。これは世界に誇る日本の運動の成果と言えるが、しかし実は、組合員以外の利用を認めず、都道府県内に活動範囲を制限するという「消費生活協同組合法」 (生協法)の規制に ...続きを読む 特集扉
創刊記念「争論・協同を語る」(第1回)
震災からの復興に協同組合は有効なのか
『協う』をモデルチェンジした『くらしと協同』の創刊に伴い、編集部ではいくつか新企画を準備した。そのひとつが、この "争論「協同」を語る" のコーナーである。競争原理だけでは「くらし」を守り、発展させることは出来ないという思いから、 ...続きを読む 特集扉