1998年10月号
人モノ地域2
日本の生協運動にとって大きな宝
民主主義は一人ひとりの力でつくられる
大阪いずみ市民生協に 「民主的な運営を求める組合員」
の連絡会〈一周年の集い〉
大阪いずみ市民生協に 「民主的な運営を求める組合員」
の連絡会結成一周年の集いが、 去る9月28日、
堺市民会館で開催された。 同生協の組合員の他、
わかやま市民生協やコープしが、 京都生協などの組合員・支援者など、
約65人が参加した。
まず連絡会の代表谷村燿子さんから、 少ない人数で精力的に取り組んできた1年間の活動報告と今後の方針が話され、
その後川口清史さん (立命館大学教授・くらしと協同の研究所副所長)
から 「生協と民主主義」 と題する講演があった。
民主主義は生協の存在の根拠
川口さんは、 生協にとって民主主義というのは存在の根拠であり、
実際の運営の原則であり、 存在の価値を意味するのだと、
協同組合のアイデンティティの声明により生協と民主主義の関係を述べ、
ヨーロッパ協同組合の例、 厚生省あり方検討会での論議などを話した。
協同組合は 「人々の自主的な組織」 である点が最も大事であり、
事業は手段である。 ヨーロッパでは大型化、 経営者支配などの結果、
協同組合はほとんど意味のない存在になったという研究者もいる。
しかし、 巨大な協同組合の一方、 小さな新しい協同組合がひろがっている。
それらは過疎地の地域おこし、 高齢者の仕事おこし、
福祉などをテーマにしている。 人々が願いを実現するためには、
協同組合はやはり重要な手段である。
日本ではみなさんのように、 自分たちの願いを生協に実現させようと集まっている組合員がいるので、
21世紀における日本の生協運動には展望がある。
みなさんががんばっているかぎり、 生協を立て直すために微力だが協力していきたい。
今回厚生省が出した 「生協のあり方検討会」
答申には2つのポイントがある。 1つは高齢社会での共助を担うものとしての生協への期待であり、
21世紀の日本の社会にとって生協はなくてはならないと位置づけた点でたいへん意義がある。
もう1つは生協の管理運営問題である。 これにはどんな法的整備をすればいずみ市民生協のような事態を制御できるのかという問題意識がある。
いずみ市民生協の問題の処理に組合員の力がどのようにかかわることができるか、
このことは今後の生協の管理運営のあり方にとって大きな意味をもっている。
みなさんの取り組みは、 日本の生協運動にとって大きな宝だ。
困難なことがあってもがんばってほしい。
民主主義を阻害している厳しい状況
最後のフリートーキングでは、 民主主義を阻害していると感じられる事例の発言が活発に続いた。
組合員の声ですすめると理事はいうが、 突然方針がでてきたりする。
理事は情報を操作して提案通りに決まるようにしているのではないか。
総代会で採決するときに自分の地域の支所長が数を数えるので正直に意思表示ができない。
いまの総代会で少数意見を反映させるのはなかなかむずかしい。
総代会の議長がすでに決まっていたり、 議事運営委員が全員理事であったり、
総代の座席が指定されたりしている。
総代会の前に 「賛成に手をあげるように」 と、
ほとんどの総代に電話を入れた支所長がいた。
組合員拡大しましょうという提起をしながら、
どこに班があり、 組合員は何人で、 1人・2人班はどこか、
そういった資料を一切出さず、 言う通りに動けばいいという支所長がいる。
支部委員会で決めたタイムスケジュール通りに動かなかったから支部委員会に出席停止といわれ、
資料も連絡も一切こない。 支部委員登録抹消の用紙がきた。
この経過を書いて理事長などに郵送したが、 返事はもらっていない。
組合員一人ひとりが自分の判断で意思を明確にし、
生協の問題を自己決定していくことが、 生協の民主主義につながる。
民主主義というのはそれに関わる人の質にかかわってくるのだろう。
これからも 「なにか、 おかしい」 という組合員の感性を大切に、
みんなでがんばっていこうと、 しめくくられた。