『協う』2005年12月号 エッセイ

くらしを守る・健康を守る・平和を守る

けいはん医療生活協同組合

理事長 石橋 章一


 けいはん医療生活協同組合は、一九九一年に大阪市と隣接する守口市・門真市・寝屋川市の三市を定款地域として設立されました。七事業所に三診療所及び、デイサービス・訪問看護ステーション・ヘルパーステーション・グループホーム・ケアプランセンター・訪問入浴などの介護事業を展開している比較的歴史の浅い組織です。現在、新しい事業として、守口市内に〇六年一月オープン予定の「地域密着型二四時間対応」の介護施設を建設中ですが、工事も最終盤となり地域の方々の関心と期待が寄せられています。
 今日、政府は「構造改革」と称して、医療制度と介護保険制度においても患者負担と利用者負担を押し付け、弱者切捨ての世の中になろうとしている時だからこそ、事業面でも生活協同組合の優位性を活かして、組合員の利益を守りながら、地域の信頼を得られる組織として発展させていく。同時に、根本的には、これらの庶民いじめを許さない運動を強めて「くらしを守る・健康を守る・平和を守る」というスローガンを文字通り実現することが求められていると強く思います。こうした立場から、全国的な生協運動を通じた教訓と、未来への展望などを示唆していただければと「くらしと協同の研究所」に期待を寄せています。
 私は二年前に、理事長に就任してまもなく「昴」(すばる)という男性合唱団に誘われました。約四〇年前にうたごえ運動に加わり、その中で忘れられない曲が、一九六〇年の安保闘争と前後して闘われた三井三池炭鉱の労働争議と日本のうたごえ運動が生み出した「地底のうた」でした。「昴」はこの歌も歌っているからというのがお誘いでした。
 「六〇の手習い」か「昔とった杵づか」のどっちか分かりませんが、月三回のレッスンが楽しみで大きな声を出し、トップテナーからバスまでの四パートによるハーモニーに酔い、レッスン後は中華料理でグラスを傾けて酔う幸せに浸っています。この「昴」はハーモニーの分厚さ、力強さにあふれる男たちの合唱団をぜひ作ろうという思いが募り、うたごえの現役やOBたち二〇人で結成され、設立五年目で団員四〇人、平均年齢は六三才です。今年の「日本うたごえ」広島祭典でも合唱コンクール一位に輝き、コンサートも〇六年四月二三日に計画しています。歌っている歌曲はロシヤ民謡をはじめ、日本歌曲・日本民謡・うたごえ歌曲とバラエティーに富み、合唱によるハーモニーが「協同」に通ずるものがあり、はまってしまった次第です。