『協う』2004年10月号 エッセイ
学びと成長の機会-大学生協のとりくみ-
大学生協京都事業連合
専務理事 酒井 克彦
近年多くの大学では、 インターンシップ (企業や公共団体、 自治体等の協力のもとで実施される学生時代の就業・就労体験) のとりくみを広げることに余念がない。
キャンパスでの学びにくわえて、 学生時代のインターンシップを通して、 職業観や人生観をより豊かなものとしていってもらいたいというのが、 共通した目的のようにみうけられる。
厳しさをます就職活動 (しゅうかつ) を前に、 キャリア形成プログラムの一環としての位置付けもみられ、 年ごとに多くの学生が参加している。
そうした状況のもとで、 大学生協では、 数年前から京都滋賀奈良の学生を対象にインターンシップのとりくみを実施しており、 その一端を紹介してみたい。
大学生協の店舗での就業体験を実施する生協店舗実習コースは、 普段学生として日々利用している生協の食堂や購買部での就労体験を通して、 受ける側と迎える側の逆転を体験する。
大学生協が直接受け入れるコース以外にも、 お取引き先の方々との 「ご縁」 からはじまったインターンシップコースもある。
若者に酪農家の現実と思いを伝えたい、 酪農体験の中から何かを感じて欲しいということでスタートした 「酪農体験コース」 では、 生産者のこだわりや生きかたにふれる。
(コープ牛乳の製造元である大山乳業農業協同組合、 鳥取県畜産農業協同組合と地元酪農家のご協力での実施)
スキー人口の著しい減少と若者の山離れの中で、 観光資源である豊かな自然を体験し、 観光企画を立案する 「栂池観光企画コース」 では、 組織によりかからず自立して生きるたくましき山の人々との出会いをえる。
(長野県小谷〈おたり〉村の商工会議所のご協力で実施)
それぞれのコース内容はさまざまではあるが、 どのコースも、 実際に仕事への誇りとやりがいをもって生きている人々 (大人) との出合いを通し、 学生にとっての貴重な体験をもたらしている。
学生はそれらの出会いと体験を通して、 自分に向き合い、 生き方や職業観を考えることにつながる。 そうした体験の中から、 食の安全や自然環境の保護の大切さを、
机上の論理ではなく、 実際にそこで働き生活する人々の生活を通して、 学ぶことにもつながっている。 単にキャリア形式や就活 (しゅうかつ) 支援という枠をこえた
『学びと成長の機会』 のひとつに大学生協のインターンシップがなっていければと思う。