『協う』2004年6月号 エッセイ
20年振りの中国 -その発展に驚く-
おかやまコープ
理事長 吉永 紀明
三月末から四月初めにかけて、 日本生協連の代表団 (団長‥小倉会長) の一員として訪中し、 二〇年振りの北京や西安、 上海を訪れた。 招待を受けた中華全国供銷合作総社は、
農村部の供銷合作社 (協同組合) を統括する全国連合会で、 全国の約八〇%の農家、 約一億八千万世帯を組織し、 事業高は総計で、 二〇〇〇年で四四〇九億元
(約五兆七三一七億円) となっている。 供銷合作社は販売・購買協同組合のことを意味し、 日本の農協と似た組織である。 ICA (国際協同組合同盟) にも加入をしている。
中国は経済成長率が九%以上で、 どこに行っても建築ラッシュだった。 日本もこの影響を受けて、 鉄鋼、 造船など、 対中貿易が好調となっている。 二〇年前の北京は、
自転車が道路に溢れかえっていた。 それが今では、 自動車優先社会になっていて、 自転車と人は道路の片隅に追いやられていた。 運転はちょっと乱暴で、 中国で運転が出来れば世界中どこでも運転が出来ると思うほどだった。
当時、 免税店であった友諠商店は、 今も存在するが昔の面影は無く、 地域のよろず百貨店になっていた。 昔、 店員さんから 「今、 私たちは利用できないが、
何年か後には利用できるようになると思う」 と言っていたのを懐かしく思い出した。
確かに九%以上の経済成長で、 国民の所得も大きく増えてきてはいるが、 都市と農村の所得格差が開きすぎて国内政策のアキレス腱になっている。 農村部の年収は一八〇〇元
(約二五〇〇〇円) と聞いた。 中国の労働者の平均年収は八〇〇〇元~一万元 (約十一万~十四万円) と言われている。 供銷合作社も農村部のくらし向上という点で大きな役割を担っている。
供銷合作社は、 協同組合としての法律が存在しない。 この間何回か法律制定に動いたが、 実現していない。 多分国内政策との整合性が取れないのかもしれない。
そのため、 供銷合作社は関連する組織と協同して株式会社を作り、 資金を集めて流通の改善や店舗の出店を行っている。 その成果が全国の多くのところで実現している。
西安では、 今年中に店を三〇店 (一〇〇~一五〇■規模) 出すと張り切っていた。
来年は日中協同組合間交流五〇周年になる。 人材育成や店舗事業のノウハウなどの交流が、 さらに深まることを期待したいと思う。 社会主義国における協同組合は、
国の計画経済との関係で難しい側面をもっている。 協同組合のアイデンティティのなかの 「自立」 という点でどれだけ自主性が発揮できるかが試される時期に中国供銷合作社もあることを実感した。