『協う』2004年4月号 特集


生協組合員の家計と
くらしから見えるもの
~「豊かに、 元気に暮らすために」~

■座談会出席者:生協組合員 Aさん (40歳代、 夫、 幼児1人)
              Bさん (20歳代、 夫、 小学生1人)
              Cさん (50歳代、 夫、 成人1人)
              Dさん (40歳代、 夫)
■進  行  役: 『協う』 編集委員 (生協組合員3名)


 日本は 「経済大国」 といわれながら、 実感のもてない 「豊かさ」 やゆとりのない 「くらし」 が問題になっています。 今回、 生協で家計に関心のある4名の組合員さんと3名の 『協う』 編集委員に、 “家計から見えてくる”くらしのあり方について語り合っていただきました。



【司会】
 今日は、 家計簿をつけていて感じるくらしの実態、 毎日の買い物などで感じること、 将来の生活設計などを聞かせていただきたいと思います。 そして、 何よりも 「豊かに、 元気に、 楽しく暮らすために、 どうすればいいのか、 どうしたいと思っているか」 ということについて自由に話し合えればと思います。
 はじめに、 家族構成にもふれながら、 家計管理はどのようにされているかお話し下さい。

【Aさん (40歳代)】
 私のところは夫とこの春に小学校に上がる男の子の3人家族で、 プラス猫3匹です。 夫は私より若くて収入も世代平均よりも少ない方だと思います。 家計は、 主に私が管理しています。 以前、 夫から生活に必要な経費をもらう形にしたことがありますが、 2カ月位しかもちませんでした。 わが家の家計の特徴は、 夫が趣味の車やバイクに使うのでその分、 光熱費と教育費をかなり削っていることです。 貯金もいちおうするのですが、 貯まると車やバイクを買い、 貯めても貯めても残らない…というのが実情です。
【Bさん (20歳代)】
 家族構成は夫と小学2年の女の子の3人暮らしです。 結婚当初から家計簿をつけようと思って、 はじめは気合が入っていたのが、 だんだん簡単な家計簿になり、 何年か前にはとうとうレシートを貼るタイプになりました。 去年はただ記録するだけで、 マイナスが出ていても、 その原因までは考えられなかったのですが、 先月頃から 「なんとなく流れがつかめたかな」 という感じになっています。
 わが家の場合は、 子どもが小さいわりには食費が多いように思うのですが、 なかなか改善できません。 今月から強硬手段で、 私が決めたメニューしか出さないことにし食費が少し抑えられて、 うれしいなと思っています。
【Cさん (50歳代)】
 家族構成は、 57歳の夫と私、 24歳の息子の3人暮らしです。 ほかに2人子どもがいたのですが、 すでに結婚して別所帯です。 家計管理というと、 以前のことですが 「私がこんなに倹約しているのに、 どうしてあの人は飲んだくれて帰ってくるのだろう」 と思いましたよ (笑)。 私が1~2万稼いでも、 夫はお小遣いで軽く5万円ぐらい使うのでバカらしいと思い、 ずっと働かずに子どもと関わってきました。 夫の実家が農家でしたので、 お米や野菜をもらえたのがとても助かりました。
 家計簿歴は23年、 生協の家計調査に参加して19年目です。 「主婦と生活」 の別冊の家計簿からその後10年間は大学ノートになり、 数えると17冊ありました。 4年前からパソコンでつけるようになりましたが、 暮らしを家計簿で支えてきたことは事実だと思います。 これから年金生活に入るので、 家計簿を役立てて何ができるかなと考えています。
【Dさん (40歳代)】
 私は生協の家計研究会で活動をしています。 家族構成は夫と2人で、 子どもはいません。 結婚して11年目ですが、 家計簿は結婚してからずっとつけています。 私は結婚した当初から、 夫にお金を渡してもらっています。 といっても、 夫の場合、 お金を管理しているわけではありません。 ただ銀行の口座からお金を引き出して、 私に生活費を渡すだけですが… (笑)。
 夫の趣味は音楽で、 結婚当初は私も寛大でしたが、 ローンものしかかってきて生活が段々苦しくなってきました。 「これではいけない」 と思って、 余ったお金はローンの繰り上げ返済や定期ものの預金に回そうと夫に持ちかけています。 夫から渡された生活費の範囲内でやり繰りするのは、 結婚当初とかわっていません。
【編集委員】
 私は家計についてはぜんぜんだめで、 毎月一回送られてくる生協の 「家計簿だより」 も、 最近見るようになったくらいです。
【編集委員】
 私は初めからマイナスになるとわかっていたので家計簿をつけるのをやめましたが (笑)、 みなさんは帳尻合わせに必死になった経験はありますか?
【Cさん】
 夫婦ゲンカをしている時は、 帳尻が合わない分は夫が使ったことにしていました (笑)。 パソコンの家計簿ソフトには 「残高調整」 の欄があるので、 合わない分はとりあえずそこに計上しておいて、 使途を思い出したら、 そこから抜いて本来の費目に書き込みます。


将来設計
―不安の中味は 「年金」 「教育」 「住宅」 ―

【司会】
 家計簿の帳尻合わせにエネルギーを費やすのはむなしいですからね。 ところで、 皆さんの家庭では将来生活に対する関心ごとというのは、 具体的にはどんなことですか。
【Bさん】
 やっぱり年金のことですね。 本当にもらえるのかどうか不安です。 受給年齢がもっと上がっていつからもらえるのか。 いま掛けているお金はどうなるのかとかやっぱり貯金をしておかないとだめなのかなと思ったりします。
【Aさん】
 私たち夫婦の場合、 夫はずっと年下なので、 統計学的に見て私のほうが先に死ぬと思うので (笑)、 私が掛けた分の年金を夫がもらえないのは悔しいですね。 夫が先に亡くなった場合は妻が遺族年金をもらえるのに、 その逆の場合に受け取れないというのは、 制度としておかしいのではないかと思います。
(編集者註■…P16 「視角」 参照)
【Dさん】
 今出されている年金モデルは 「40歳代、 年収600万円、 夫と子ども2人」 ですから、 「夫婦2人だけだったらいくらになるだろう」 と考えはじめると、 とても気になります。 先日も夫と2人で 「もし貯金も年金もなくなって、 生活できなきなったら、 見栄を張らずに生活保護を受けようね」 と話あいました。 (笑)
【Cさん】
 問題は年金が年間240万円あるかどうかですね。 私の国民年金が79万円弱ですから。 夫の母は83歳で一人暮らしですが、 年間で本人の年金が69万円、 遺族年金が160万円です。 田舎で体を動かしながら元気に暮らしているのを見ると、 私の場合 「田舎に帰ればなんとかなる」 という感じで、 少しは不安をぬぐえています。
【Aさん】
 将来の養育費の心配があって、 子どもが産めなくなってきている人もいると思います。 今の若い人には教育費や育児関係の費用が出せるかどうかという不安があるようですね。
【編集委員】
 最近は、 子どもが就職した後もまだ親が仕送りするケースがありますね。 子どもが22歳になって、 それでピタリと援助しなくてもよくなるとは、 とても思えないですね (笑)。
【Cさん】
 3人の子どもを育てた私の経験からですが、 子どもが大学生の時は、 下宿学生だったこともあって、 教育費は総収入 (税込み) の44%になりました。 それと子どもが結婚しだすと、 支出の費目が今までの 「教育費」 から 「交際費」 に変わるだけですよ。 ≪図表■参照≫

【司会】
 もうひとつ家計支出で大きな比重を占める住宅ローンについてはどうでしょうか。
【Dさん】
 私の場合、 頭金をたくさん入れたわりには、 返済に苦労するというのが実感ですね。
 当時はまだステップ返済があって返済額も少なく、 ゆとりがありました。 海外旅行に行ったりして遊びほうけていましたね (笑)。 でも、 ステップ返済が終わってからがきつかったです。 返済額が倍になりました。 あの制度は悪いと思います (笑)。
【Aさん】
 ステップ返済って、 最初はいいんですよね。 月々の返済額が少ないから、 5年目からドンと増えるし、 今は昔のように収入自体が思うように伸びないようになってきたし…。
【編集委員】確かに、 住居費は賃貸、 ローン含めて見ても、 30歳代の方を中心に固定費としてウエイトが高いですよね。 ≪図表■参照≫


“ゆとり”なく
―“厳しさ”と“祈る気持ち”―

【司会】
 今お話いただいたように、 皆さんの家計の状況から見て、 今のくらしの“ゆとり度合い”って実際のところはいかがでしょうか。
【Dさん (40歳代)】
 わが家は子どもがいなくって教育費がかからないので、 ゆとりを持って生活できるだろうと思っていたんです。 でも、 収入が伸びなくなるとは正直、 予想していませんでした。 反対に減っていく状況ですから、 厳しさをひしひしと感じます。 ≪図表■参照≫
【Aさん (40歳代)】
 うちでは 「今年はお菓子を買わない」 と宣言しています。 夫にたばこをやめるかお菓子をやめるか迫った結果で、 小さなことからコツコツ…と思っています。 ただお菓子でも 「もらいもの大歓迎」 ですが… (笑)。 でも普段の食べ物はケチりたくないので、 できるだけ加工品は減らして、 旬のものを食べようとしています。 そのことで金額的にはあまり減らないけれども、 そのかわりムダなものは買わないようにしようと思っています。
【Cさん (50歳代)】
 子ども2人が独立したので正直なところ、 今の家計にゆとりはあります。 年金が入るまであと5年、 それまでは子どもに仕送りしていた分が丸々残るので、 年金までのつなぎにしようと夫と話し合っています。 ただ、 案外忘れがちな住民税 (退職の翌年の) は、 在職時の所得に対してかかるので、 おそらく、 けっこうな額になると思っています。
【編集委員】
 そういえば、 朝のテレビ番組で、 老後は月25万円要るから必要な貯金は3,000万円という試算をしていましたね。

【司会】
 私の知人の話によれば、 老後を特養の個室で過ごすと、 月に約22万円かかるそうです。 仮に1千万円貯めていても、 4年ぐらいしか面倒をみてもらうことができないわけで、 なるべく貯金を取り崩さないようにと、 自分の年金からも費用を出して支えているという話でした。 子どもの教育費や親の介護費用と…、 家計をめぐる状況は本当に大変で、 家計消費も5年間ずっと減りつづけていますね。 [図表■]
【Bさん (20歳代)】
 うちもゆとりはありません。 子どもが小さい時にお金を貯めるべきなのですが、 なかなかそうもいかず難しいですね。 夫の会社もリストラの話が出ているので、 「どうか給料が下がりませんように。 ボーナスもらえますように」 と祈るような気持ちです。


でも“楽しみ”を持ってくらしたい

【司会】
 厳しい話ばかりでなく、 元気の出る話はいかがですか。 「お金があればこんなものに使ってみたい」 という話をしてみましょうか。
【Cさん】
 やはり文化的なことをしたいですね。 娘や息子のお嫁さんたちが資格を取りたいと話しているのを見ると、 その積極的な姿勢がうらやましい。 私も何かひとつ勉強しようかなと思っています。
【Aさん】
 日本人は 「小金持ち」 が多くて、 でも文化的にはすごく貧しいと言われていますね。 私はバレエや歌のコンサートが好きですし、 海外旅行もと思うのですが、 夫の仕事が忙しい。 しかし行くなら夫と2人で…と思っていますし、 新婚旅行も海外ではなかったので、 ぜひ海外に行きたいと思っています。 少し先の楽しみです。
【Dさん】
 私は温泉に行きたいですね。 FP (フィナンシャル・プランナー) の資格を取るまでは我慢してと思って勉強していましたが、 テレビの温泉特集でおしゃれなデザイナーズ旅館を取り上げているのを見るとなんと1人1泊7万円で笑ってしまいました。 夫と 「2人で行ったら15万円やね、 2泊したら30万円やね」 と、 いっぺんに現実的な話になってしまいました。 (笑)
【Bさん】
 通販の雑誌を見ながら 「これ、 いいな。 買おう!」 というぐらいになってみたいですね。 それと、 北海道の流氷ツアーにも一度行ってみたいですね。

家計簿は“安心とくらしの知恵”
そして“正直で楽しめるもの”

【司会】
 家計簿をつけるのは、 自分がどれだけ使えるかがわかるからだと考えていますが、 みなさんが家計管理をしていて見えてきたことはどのようなことでしょうか。
【Cさん】
 月間や年間の集計をしていると、 大まかな傾向がつかめます。 それでローンを組む時もギリギリでなく、 少しゆとりを持って組んだのですが、 そうしたことが良かったと今思っています。 安心感があるし、 子どもが下宿したいと言った時も子どもに頭ごなしに怒らなくて済みました。 「ここまでは安心」 ということがわかりますから、 精神的にも安定できたことが良かったですね。
【Aさん】
 私は節約がひとつの趣味で、 「爪の先に灯をともす」 ようなケチではなくて、 「これだけ頑張れた」 と節約を楽しむようにしています。 赤字が少ないほうが楽しいし、 ケチが負担なのではなくて、 楽しむ感覚で節約しています。
【Bさん】
 光熱費などは、 家計簿をつけ始めた時は前月より減っているとうれしかったのですが、 最近は前年や前々年と比較するようになりました。 私は袋分けの家計簿を使っているのですが、 自分の小遣いがないので余った分を全部、 自分の分に入れて使ったりしています (笑)。

【司会】
 パルコープの家計研究会は144名のモニターさんをもとに調査活動に取り組んでいて、 Dさんはその集計や分析をなさっています。 少し話は外れますが、 昨年のお米の値上がりで、 家計に何か変化が見えましたか?
【Dさん】
 昨年9月の家計モニター結果を集計した時点では、 値上がり前にまとめ買いがあるかなと予想していたのですが、 それほど変化はありませんでした。 ところが、 11月の集計を見ると、 値上がりの前月に少し多めに買って、 値上がりした月は買うのを控えた人が多かったのではないかと考えられます。 消費者は敏感に反応していることが、 家計簿からも正直に見えてきますね。 牛肉や鶏肉の問題が起こって、 それが家計簿にも現れるかもしれません。 興味のあるところです。


家計のことを話し合うなかで、
くらしのあり方についても考えられたら…

【司会】
 家計の実態を出し合って交流する中で、 税金の納め方・使われ方や年金や教育の問題が見えてきたらいいなと思いますし、 そこで学び合えるような取り組みをしていきたいと思います。 その意味でも今日の座談会はとても有意義だったと思います。 最後になりますが、 皆さんは家計について話し合ったりされますか。
【Bさん】
 子どものお友だちのお母さんやご近所の知り合いの方と話しますが、 それほど詳しくはしません。 自分の親にも夫の親にも、 家計の話はしません。 肝腎の夫とは一方通行ですね (笑)。
【Cさん】
 うちの場合は、 節目ごとに夫と話してきました。 夫は、 わりあいうまく決めてくれるので助かりました。 古い家計簿を見ると、 子どもの落書きがあるんですね。 私も一所懸命つけていたし、 子どもたちも協力してくれていたんだなと思います。
【Aさん】
 親には言わないで、 夫とはよく話し合います。 話し合うというか、 夫に頼りきっているし、 お互いのコミュニケーションは取れているほうだと思います。 夫はどうも現実離れしていて 「宝くじが当たったら」 という話をよくするんです (笑)。 私の実現したい夢は宝くじに当たったら、 それをかなえてくれるとは言ってくれています。
【編集委員】
 皆さんは家計の管理や計画的に使われていて、 すごく偉いなと思います。 夫に車代でドーンと持っていかれるとこたえますが、 「それで一所懸命に働いているのなら、 まあ、 いいかな」 というような気持ちでやっています。 私も自分のしたいことがやれていますし、 私自身の余裕のもとかなと思っています。
【編集委員】
 夫の退職金について、 私が相談する前に夫は 「好きなように使いや」 と言ってくれました。 そう言われると、 なかなか使えない (笑)。 結局、 貯金して手を付けていません。

【司会】
 私たちの小さな力では、 みんなが同じように豊かになったり、 きちんと社会保障が受けられたりするのは難しいけれども、 家計の話を出し合うなかでこれからの社会やくらしのあり方についても考えられたらいいなと思うので、 今後も交流していければと思います。 今日はどうもありがとうございました。 (了)


*座談会に参加してのコメント
(大阪音楽大学教授 井上英之)
  「家計と社会保障」 へ注目するというこの座談会は 「協う」 編集委員会に加わっている生協組合員が企画とその具体化 (発案→座談会開催→執筆) まで全面的に関与したはじめてのものである。
 座談会では多様な問題が話し合われたが字数の関係で大幅にカットして、 くらしの実感や思いを前面に出してまとめられている。
 この座談会の当日、 2つの注目すべき新聞記事が掲載された。 一つは 「家計消費の行方」 と題した日生協会長小倉修悟氏の談話 (3■16日経新聞 「月曜経済観測」) であるが、 BSE 問題、 鳥インフルエンザ発生による食肉消費への影響について 「コープこうべでは牛肉の売り上げは10%減、 鶏肉は24%減」 と説明し、 「食の風景」 が変わりはじめている状況を指摘している。 また 「食品だけでなく生活の基本費が減っている。 2002年度の食費は前年度比3.6%減、 ここ5年減り続け、 被服費は6年前の四分の三だ。 消費支出全体でも縮小傾向に歯止めがかかっていない」 と 「衣食の基本費減らし」 が続いている現状を深刻な問題と指摘している。 P4の [図表■] は、 同記事に掲載されたものだが、 家計をめぐる今日の状況を示している。
 もう一つの日本銀行の資金循環統計 (速報) を報じた記事 (3■16朝日新聞) では、 「伸びぬ所得 家計疲弊」 「減る定期預金 積み立てる余裕なく」 「削れぬ固定費 住宅ローン・教育重荷」 「家計初の資金不足」 と示すように、 家計部門が資金不足になるのは1990年の統計開始以来初めてと深刻な状況を伝えている。 [図表■]
 また、 [図表■] と [図表■] は激増する生活不安・社会不安を示している。 小泉内閣の 「構造改革」 政策は更に社会保障制度への不安、 雇用と失業への不安、 治安への不安、 「自己責任」 の強調と強いられる負担増への不安を増大させている。 金澤論文 (本誌 P7~) が指摘している階層格差の急激な拡大という今日的な問題をかかえ込んでいる時点での座談会である。
 生命保険文化センターの調査によれば、 「逃げ切りの50代、 開きなおりの40代、 あきらめの30代」 と公的年金への世代差が指摘されているが、 今回の座談会では各世代間の不安と家計への取り組みの姿勢の違いとしても反映している。 ここを是非読み取っていただきたい。
 なお、 『婦人の友』 4月号では 「羽仁もと子案 家計簿創刊100年」 の特集がまとめられている。 生協の家計活動は、 コープこうべの永谷晴子を介してこの 「羽仁もと子案」 と東京都の生活協同組合課が女性リーダーとともに作成したものとが合流し、 階層格差が縮小して生活水準が上昇する生協運動発展期に高揚したと考えると、 あらためて生協における家計活動の意義を考えなければならないだろう。 パルコープの家計・くらし研究会からは11年間分のまとめが紹介されたが、 この座談会の結びで語られているように、 “家計を通して社会や自分の生活の見通しを確かめ合う活動”の広がりと深まりとが、 今日の生協に求められている。


※座談会参加は、 青柳正美さん (京都生協)、 米田朝子さん (ならコープ)、 日笠昌美さん (パルコープ) 細谷真由美さん (パルコープ)、 『協う』 編集員の廣瀬佳代さん (京都生協)、 烏野純子さん (ならコープ)、 そして司会は橘達子さん (パルコープ) でした。 ご協力ありがとうございました。

資料) 野村総研 「生活者一万人アンケート調査」 (1997年、 2000年)