『協う』2004年2月号 エッセイ

何でも感じたことが言える開かれた、 そして多様性のある場 「共創の場」 を大切にしたい
エフコープ専務理事 梶浦 孝弘


《言葉にならない世界を大切にしたい》
  「上手く言えないのですが…」 こんな世界を大切にしたいと思います。 言葉で語りうる知識 (言語知) だけでなく、 言葉で語り得ない知恵がくらしを豊かにする 「コト」 が本当に多いのだと感じています。
《何でも言える開かれた場を》
 くらしを豊かにする生活の知恵を知りつなぎあう 「くらしづくり」 に徹する組織変革を進めています。
 生活の知恵には、 言葉で語るには難しい、 背景にある想いがたくさんあります。 「最後の味付けは私 (母) がしたい」 「子どもたちに魚の栄養 (DHA) を」 「肉団子風が子どもは喜ぶのよ」 「包材に子ども達が描いた魚の絵を載せたら楽しい」 …。 「コンビニのおにぎりは種類が豊富で美味しく楽しい」 「朝食を食べない子もおにぎりだと食べてくれ安心」 「行楽や運動会には、 コンビニのおにぎりは気が引ける」 「お母さんの手抜きだなんて思われたくない」 「色んな具を家庭で作るには、 手間がかかり非経済的ね」 …いろんな想い、 感じていることが何でも言える開かれた場、 何のためらいも無く自己開示できる場があるとおしゃべりも弾みます。 そんな場にメーカーも入ってもらい、 一緒になって想いを形にしていく 「共創」 から、 くらしを豊かにする新商品 「とれとれいわしのこだわりだんご (いわしのたたきみで作った冷凍だんご)」 「愛情おにぎり具っとつめて (おにぎりの具だけの冷凍商品)」 が誕生しました。

《広がっていく 「感じる世界」》
  「なるほど私もそう思う」 「ヘえ~そんな考えもあるのね」 色んな意見や感想が豊富にあると、 その中から 「わかるわかる、 私も同感」 「それっていいよね、 共感しちゃう」 という発見があり、 そこから仮説が生まれます。 そして、 どうすれば実現するか知恵を出し合い形にすると、 皆で作り上げる実感や自己実現の満足感も備わって…買いたくなる、 知らせたくなる、 勧めたくなる、 そんな 「感じる世界」 が広がります。 くらしが豊かになり、 家族・生産者の笑顔が増え、 嬉しく楽しくなる 「感じる世界」 が広がり、 それが付加価値 (生協ブランド) として認められるまで高めたいと思います。

《共創の場から世界が広がる》
 組合員・生産者・消費財産業・生産財産業・資本財産業そして行政等が一同に会する異業種のネットワークによる多様性の場・共創の場を通じて、 くらしを豊かにする商品だけでなく、 カタログや店舗の棚、 更には社会 (流通) システムを変革したいと考えます。

《くらしを豊かにする 「コト」 … 「情報」》
 情報…情 (じょう) に報 (むく) いるとも読めます。 感じる心に響きあう、 そんな情報を知ってつなぎあう。 そのために 「共創の場」 とそのマネジメントを真ん中に組織の有り様や事業・活動・仕組みを変革し、 知識社会の中で存在価値ある新たな生協づくりに挑戦してみようと思います。