『協う』2003年12月号 書評2
住む人の心と体と家計の健康を守るために
橘 達子
編集委員
おおさかパルコープ組合員
『子育て世代の健康住宅
-今までの家作りでは家族の健康は守れない!-』
健康創造住宅実践会 榎本馨著
評言社 2002年11月 1200円+税
人生設計の大きなテーマであるマイホーム計画。 私自身夫の定年まで住宅ローンを払い続けてきた。 高度成長の真っただ中、 いわゆる 「建売住宅」 を購入。
決して満足する住宅ではなかったが、 こんな大きな買い物は二度と出来ないこともあり、 住み続けて30年が経った。
著者は 「マイホームを建設するには、 生涯の可処分所得の30%以上を投入する必要がある。 だからこそ“大手メーカーだから”とか“ローコスト住宅だから”ではなく、
健康で快適に暮らせる長寿命の家を求めることが大切である」 という。 著者はプレハブ住宅製造販売会社で働いていたが、 自分自身のマイホームでは、 子どもたちがシックハウスと思われる病状に悩まされた。
その体験から 「健康によい本物の住宅を造りたい」 と脱サラし、 家族の健康を創造する家づくりを率先して実践していくことを目的とした建築会社ネットワーク
『健康創造住宅実践会』 を設立した。
住宅は何をおいてもまず 「構造的な強度」 が命だそうだ。 その上でキーワードを持ちインターネットなどで業者選びをする。 気軽に相談にのってくれるホームドクターを選んだ時点でマイホーム作りは80%成功だそうだ。
家づくりのキーワードを持って、 業者を選ぶといってもなかなか大変だと思うが、 「うんうん」 と思える興味深いアドバイスが書かれていた。
例えば 「高断熱・高気密」 をセールスポイントにしている業者が真剣に取り組んでいるかどうか判断する方法がある。 住宅展示場を訪れたとき、 豪華な内装や洒落た外観デザインに目を奪われてはいけない。
その前にちょっとだけ裏側に回って、 そこでエアコンの室外機が何台も並んでいたら、 その会社の住宅は100%本当の 「高断熱・高気密」 にはなっていない。
又、 「ローコスト」 を売り物にしている会社の場合、 営業担当者などに 「大きな本棚を置きたいのですが…」 とか 「ピアノをおきたいのですが…」 という質問をしてみるべきだという。
ここで 「補強が必要になります」 という言葉が返ってきたら、 まず構造は最低限度の強度しかないと判断できる。 本当の意味のローコストとは著者によれば、
絶対金額の安さだけでなく、 価値があってはじめて成り立つものである。
著者は 「若いご夫婦に“子どもたちの体の健康を守ること”“彼らに 『故郷の家』 を持たせること”“資産として価値ある家を残すこと”そのために何ができるかについて是非考えてほしい」
と結んでいる。 この他 「シックハウス症候群の原因」 「なぜ外断熱なのか」 「住宅の適正価格」 などについて、 マイホームを計画している人に私でも多少のアドバイス出来るぐらい、
この本一冊で多くの知識を得ることができた。