『協う』2003年10月号 エッセイ

カップ麺の特価セールをめぐって
龍谷大学生活協同組合
専務理事 粟飯原利弘

 コンビニやスーパーへ行くと様々な種類のカップ麺が並んでいる。 お湯を注ぐだけの簡便さでお腹も満たせる。 最近は本格的な味に近付けようとした商品も増えている。 お腹を満たすことであれば確かに手軽である。 研究や実験で夜遅くまでキャンパスに残る学生がいることや組合員の要望もあり一部の店舗ではお湯も含めてカップ麺を提供してきた。 だが、 ショップの店長から 「カップ麺で食事を済ませる学生が増えている。 生協がわざわざ特価セールをして健康に好ましくないことを助長するのはよくないのではないか。 特価セールはやめたい。」 と提起がされ、 どうするかということになった。 学生の意見はほぼ二つに分かれた。 「カップ麺はうまいし、 安いし、 便利。 やめられない。」 という意見と 「カップ麺ばかり食べていると将来身体にツケがくる。 そんな食生活はやめた方がよい。」 という意見だった。 理事会の議論の結果は、 「カップ麺の特価セールはやめる、 安くて健康に良い食事の代替案を考えていう。」 というものになった。
 コンビニやファーストフード店の普及で 「安く簡便な食事」 がすぐにできる環境になった。 当然ながら小さい頃からコンビニやファーストフードの食べ物に馴染んでいる学生が多い。 携帯電話やいろいろとお金がほしい学生にとって目につきやすい食費を削りたいと考え、 簡単で安い食事で済まそうとすることも無理からぬ一面があるとも思う。 その上、 カップ麺やファーストフードのCMが拍車をかける。 だが一方で健康に何かしらの不安があると答える学生は六割にのぼる。 「とにかく野菜を食べないといけない。」 と考えている学生は多い。 「何を食べてよいのかわからない。」 という学生も多い。 「どんな食べ物を買ってもコンビニは、 『ありがとうございます』 というだけ。 生協は 『体に良くないよ』 と言ってくれる。 そこが違い。」 とある大学職員から言われたことがある。 学生の健康を考えればカップ麺の特価セールはしたくないと提起した店長、 やっぱりカップ麺の特価セールは止めようと決めた理事の見識は素晴らしいと思う。 次代を担う学生と一緒に食べることの大切さや豊かな食文化に触れ、 実感できるような機会や場づくり、 人と人とのつながりづくりを先進的な生協に学びつつ役職員で進めていきたいと思った次第である。