2002年6月号
書評2


雑 感 集
-コープみやざきが考えてきたこと・深めたいこと

武内 タキ子
『協う』 編集委員・京都生協組合員


『雑 感 集』-コープみやざきが考えてきたこと・深めたいこと-

コープみやざき雑感集編集委員会 編
鉱脈社 2002年3月


『雑感集』 ・・・不思議な書名だと思いました。 冒頭にある 「発刊にあたって」 の中に、 “基本方針をより正しく、 深く理解してほしいという思いを込めて”とあったので、 本書の資料にも収められているコープみやざきの 「基本方針」 を読んでみました。 その4に、 組合員の利用や要望を、 数値やデータとして一般的、 抽象的に見るのでなく、 生身の人間、 1人ひとりの1つの声として捕らえ具体的に応えていく、 とありました。 本当にこんな気持ちで組合員に接しているのなら、 組合員は本当に幸せなのだと思いました。 私がいままでに関わった7つの生協の対応はどうだったかと思い出しながら読んでいます。

この本を読んではじめに印象に残ったのは、 コープみやざきでは 「組織率」 ではなく 「加入率」、 「遠隔地」 ではなく 「00地区」 と呼ぶなど、 組合員の立場に立った言葉を使うというこだわりがあることでした。 (でも、 本書の各章は 「1の章」 とか 「7の章」 とか、 読者には不思議な章題になっているし、 章立ては商品、 組合員、 店舗などと内容で分けられているのかとおもって読んでいましたが、 そうではないみたいで、 章わけの基準が私にはわかりませんでした。 とはいっても、 それぞれの文は短くまとまっていて読みやすく、 読んでいてうなずいたり、 反省させられるところがたくさんあります。)

そして次に私の心に強く残ったのは、 「商品力で負けない」 (30~31ページ) の中に、 いわて生協の言葉として引用してある“できない100の理由より1つのできる可能性を考えよう”という言葉でした。 私自身いつもこうだからできない、 ああだからできないと逃げることを先に考えることが多く、 この言葉に強く惹かれたのだと思います。

心に残ったものからもう1つ。 「せいきょうにたのんでみたら」 (84~85ページ) では、 可能な限り組合員の要望に応えているコープみやざきでも、 商品によっては企画できないものもある、 でもそのとき1歩進んでなぜ企画してほしいのかまで思いが及べば、 この1歩は組合員と生協の距離をぐっと縮めるものとなると書かれており、 それに続けてこうあります。

“私の手元に、 何度か取り出してはながめている1枚のコピーがある。 たどたどしい字で 「しんだばあちゃんにあいたい」 と書かれている。 コープ都北に寄せられた 『よくするカード』 で、 名前も住所もない。 字の感じでは小学1、 2年生だと思う。 どんなこどもがどんな思いで書いたのだろうか。 なぜ生協の 『よくするカード』 に書いたのだろうか。 おばあちゃんの死を受けとめきれず、 会いたい、 会いたいとせがむこどもにお母さんが、 「せいきょうにたのんでみたら」 と言ったのかもしれない。 お母さんが、 何か困った事があった時いつも 「『よくするカード』 に書いてみよう」 といっていたのを覚えていたのかもしれない。”

ここを読んで、 子供の書いたものも心にとめてもらえるいいところだなーと思いました。 私も生協に頼んで母が帰ってくるなら頼みたい。 コープみやざきに1度行ってみたいな。 今度九州へ帰ったら足を伸ばしてみよう。


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