2001年8月号
コラム


アニメ映画 『千と千尋の神隠し』 が好評だ。 宮崎駿が今日的な 「生きる力」 をテーマ化した作品だけに当然だろう。

同監督は高校の先輩であることから、 これまでの作品を見続け、 今回の制作過程にも注目してきた。 しかし彼の遺言が伝わらないのではないか、 と恐れる。

日本の子どもを魅了した半面、 ヴァーチャルな手法が子どもの多様な可能性を奪ったという反省。 スタッフの体力不足、 自然や細かな描写ができないという根本問題。 こうした悪戦苦闘が、 最後の作品と自らの転身を生みだしたのである。
(Q)


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