2001年4月号
エッセイ
環境問題で思うこと
京都府庁生活協同組合
専務理事 小川 正
身の回りを見渡すと、いまだに「お歳暮は○○百貨店でないと」「○○印の包み紙でないと」という人が結構いる。送られる方はそれほど気にしていないと思うけれど、どうも送るほうの思いこみが強いと思う。中身も別段その百貨店のオリジナルなものでないのにである。
新しい世紀を迎え、深刻な問題である「環境問題」を考える一つのキーワードは「いれもの」や「つつみ」について考えることではないかと思う。
先日、ある雑誌を見ていると「アルミ缶」の事が書いてあった。
アルミを作るには電気分解しかないそうである。アルミ缶一個は約10グラムだが、これを作るのに60ワットの電球を50時間点灯するだけの電気が必要なそうである。日本は電気代が高いので、家庭用なら70円もかかる。工場用ではそんなにいらないと思うが、それでも30円くらいはかかるそうだ。
ところが、それを再生するときの電気代はわずか3%で済むそうである。
そのアルミ缶は、以前と比べるとずいぶん回収されるようになったが、それでも約50%くらいである。
われわれは、よく飲むアルミ缶の中身の方は10円くらいしかかかっていないと聞くと、割り切れない思いがする。
京都府庁でも最近、環境問題を所管する部局から、「デポジット」による空き缶回収をメーカーの協力も得て開始したいので協力してほしいという依頼がある。生協も一面、事業者ということで「環境問題」はコストや手間暇がかかることからいくと、頭の痛い問題である。
しかし、環境問題に対処できない事業者は信頼をなくし、生き残っていけないという思いも強い。
消費者の意識やライフスタイルの見直しは避けて通れないと思う。同時に行政、生産者も含め、生協も連帯と力を集めて仕組み作りに取り組む必要があると思う。
21世紀を「いれもの」や「よそおい」より、中身が大切にされる世紀にするためにできることから始めたい。
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