『協う』2008年6月号 特集1

特集 コープ商品の「安心・安全」を考える
  現代生協の源流といわれるロッチデール公正先駆者組合は、「公正な商売」を原則としていた。「純良な品質の商品を、目方をごまかさずに売る」という方針が支持されて、生協運動は世界中に広まっていったのである。
  日本の生活協同組合は、その流れを受けて、1960年代から独自の「コープ商品」を次々に開発していった。日本生協連のコープ商品第1号「生協バター」は、あたりまえのように使われていたデヒドロ酢酸(保存料)を添加しないバターとして開発され、「安心・安全」のコープ商品の先駆けとなっている。
  以来半世紀近く、現在では6000品目を超える日生協コープ商品が供給されているが、そのコープ商品の「不祥事」が相次いで発覚した。「CO・OP牛肉コロッケ」は原料を偽っていたし、「CO・OP鳴門産わかめ」は鳴門産ではなかった。そして有毒物質が混入された「CO・OP手作り餃子」が組合員に届けられ、生協ばかりでなく、世間を揺るがせたのである。
  なぜこんなことになってしまったのか? 原因と対策はそれぞれ別個に追究されるべきであるが、それとは別に求められているのが、これからのコープ商品のあり方、そして生協と「食」との関わり方を根本から考えることであろう。本特集は、その第一弾としてお送りするものである。

CO・OPブランドと商品開発            
~CO・OPミックスキャロットを事例として~


加賀美 太記(京都大学大学院 経済学研究科 博士後期課程、『協う』編集委員)

はじめに
  2007年に頻発した食品偽装問題に端を発する「食」への不安の高まりと、世界規模での穀物価格の高騰を背景にした食料品の値上げが続いている。そんな中、プライベート・ブランド(以下PB)商品が存在感を増してきている。イオンの「トップバリュ」やセブン&アイHDの「セブンプレミアム」など、大手の流通小売業者もPB商品の拡充に力を入れ始めた(表①)。しかし、1960年代からPB商品開発を続けていた生協ではミートホープ事件などの食品偽装問題や冷凍ギョーザ中毒問題などを受けて、その信頼感を大きく損ねることになってしまった。
  このような状況でCO・OPブランドに求められているものは何だろうか。そして、生協が強みとするべき点はどこにあるのだろうか。この問題意識の下、本稿では生協PBで最大のヒット商品である「CO・OPミックスキャロット」を事例として取り上げ、CO・OPブランドの意味と、その商品開発の今日的な課題について再考してみよう。

1.「CO・OPミックスキャロット」の歴史と現状
  最初に「ミックスキャロット」の歴史と、現在の状況を概観しよう。
  CO・OPブランドの商品開発の歴史は1960年代にまでさかのぼる。当時は高度経済成長期であり、有力メーカーのナショナル・ブランド(以下NB)が確立しつつある時期でもあった。このような時代に「組合員自らが自分たちの求める商品を開発する(注1)」画期的な取り組みとして生協独自の商品開発はスタートした。70年代には消費者運動の高まりなどを受け、添加物の削減などの先進的な取り組みがCO・OP商品開発ではなされていた。
  「ミックスキャロット」は、この1970年代末期から開発が始まり、1981年12月末に販売が始まった。「ミックスキャロット」はにんじんを主原料とした野菜汁と果汁の混合飲料である。今でこそ野菜ジュースや野菜・果汁混合ジュースは飲料市場で大きな割合を占めているが、当時この類の商品は存在していなかった。「ミックスキャロット」は野菜・果汁の混合飲料消費市場を自ら創出し、長期にわたり高いシェアを維持し続けたのである。また、安全へのこだわりから、開発当初から原産地の分かる原材料にこだわっている。にんじんは国産原料のみを使用し、りんご・みかんも国産のみである。ぶどうは国産を主体に海外産とブレンド、バナナ・オレンジ・レモンは海外産である(主な原産地は表②)。なお、原料の国産比率は開発以来89%を維持している。また、安全性確保のために、全ての原料への品質チェックと年一回の残留農薬検査を実施している。原料の大部分は契約栽培が中心になっていること、国産比率が高いことなどから原料代が高いことも事実であるが、価格については発売当初の88円(参考組合員価格・160g)に据え置かれている。
  なお、発売以来、容量や容器の種類といった商品のラインナップの拡張は随時行われてきた(表③)。現在の生産元は開発から携わる「ゴールドパック社」とその後に加えられた「ふくれん」の二社である。当初はゴールドパックのみが生産元であったが需要の拡大にともない、生産キャパシティの確保と輸送コストの削減の必要に迫られ、ふくれんにも生産を依頼することになった。具体的には、缶とペットボトル製品に関してはゴールドパック社が単独で、紙パック製品に関しては関西以西の西日本をふくれんが受け持ち、それ以外はゴールドパック社が受け持つという体制である。
  味については、2003年に実に22年振りに見直しを行った。これは競合商品が登場して、市場の嗜好が「あっさり」味へ変化してきたことと、よりいっそうの健康志向から「甘さ」も控える傾向に変わったためである。この際、コープしこくやちばコープなど、会員生協の協力のもとに、3000人規模のアンケートと試飲を実施している。
  「ミックスキャロット」は、発売から今年で27年目を迎えたが、現在も生協PBとして飲料市場では主要な位置を占めている。しかし、大手メーカーの参入により、野菜・果汁混合系飲料の市場規模の拡大で、生協の占める地位が相対的に低下しつつある。「ミックスキャロット」も販売数では前年割れ実績で推移しているが、現状も、最主力商品であり、続いて開発された野菜ジュース「彩果菜園」は、2番手となっている。

2.ミックスキャロット開発の経緯と特徴
  「ミックスキャロット」は発売後20年以上経つロングセラー商品であり、徐々に市場での地位を下げつつあるとはいえ、日本生協連自身が「コープ最大のヒット商品(注2)」と述べるように生協PBの代名詞でもある。それでは次に、「ミックスキャロット」の開発経緯を振り返ろう。
  「CO・OPミックスキャロット」は、日本生協連とゴールドパック社の共同開発商品である。そもそもの開発の動機は、日本生協連とゴールドパック社ともに、開発担当者の「子供のにんじん嫌いを克服させてあげたい」という素朴な思いであった。にんじんは高い栄養価を持つ野菜であるが、今も昔も変わらず子供の嫌いな野菜ランキング上位の常連である。親として、子供のにんじん嫌いを直して、たくさん食べられるようになって欲しいという思いが開発の出発点だった。
  さらに1970年代に入り、高度経済成長を受けて組合員を含めた国民の生活水準が上昇する中で健康への関心が高まっていた。特に野菜摂取の必要性が認知されるに従って、野菜ジュース市場が拡大していた。当時発売していたのは、トマト100%やにんじん100%のジュースである。しかし、大人向けの製品であり、味も独特の風味が残ったものであったためか、トマトジュースは年約50万(日本生協連出荷ベース)ケースで頭打ちの状態にあった。生協としても、組合員の健康という欲求の向上にあわせて、商品のラインナップを拡張する必要性を感じていたのである。
  こうして開発はスタートした。開発のコンセプトは大きく二つ。一つは「にんじん嫌いの子供が無理なく飲める味にすること」、もう一つは「にんじん嫌いを克服できるように、にんじんの風味を若干だが残すこと」であった。この矛盾する二つのコンセプトを同時に達成するために考えられたアイディアが、果汁とのミックスである。しかし、開発当初は「にんじん臭さ」と「にんじん独特の酸味」に苦しめられることになった。この問題を解決したのが、バナナとのミックスというアイディアである。バナナは、年間を通しての生産量が安定していること、安価であること、酸味を消すため甘みがあることといった必要条件をクリアする果物であった。この他にも、りんご・みかん・オレンジ・ぶどう・レモン果汁と独自の割合で調合することで、「にんじんの風味を残しつつ、子供でも飲みやすい飲料」が完成したのである。
  以上が「ミックスキャロット」の開発過程であるが、「ミックスキャロット」の商品化において重要な役割を果たしたのが、組合員の声である。「ミックスキャロット」は開発の出発点こそ商品部であったが、要所要所で組合員の声を大きく反映させる努力を行っていた。
  まず、開発に取り組むに当たって、開発意図を検証するために、開発コンセプトである「にんじん嫌いの子供ににんじんを食べさせたい。できるなら、にんじん嫌いを直したい」という点を尋ねるアンケートを行った。このアンケートでは、約1000人の回答者のうち700人以上が、このコンセプトへの賛同を示していた。また、開発の目的にあるようにメインターゲットは子供であったため、当の子供たちへの試飲も開発過程を通じて繰り返し行っている。開発担当者は自宅に試飲缶を持ち帰り、自分の子供に味見をさせる日々が続いたという。さらに、商品化を検証するための試飲は、生協の組織を活かした大規模なものになった。製品仕様である味が確定した後に行われた最終的な試飲とアンケートは、全国の子供がいる生協組合員3万軒に全3回、延べ9万軒の組合員を対象にした大規模なものとなった。このアンケートでは、味に対する評価だけではなく、ネーミングや缶ラベルについても意見が集められ、「ミックスキャロット」というネーミングや、子供向けのマンガチックなイラストもこのプロセスを経て決定された。(なお、アンケートでは「キャロッティー」という名称の人気が高かったが、商標の関係で実現しなかった)
  「ミックスキャロット」の開発に当たって大々的に行われた組合員アンケートだったが、なぜここまで組合員の声に注目したのだろうか。
  そもそもCO・OPブランドの商品開発とは「組合員自らが、自分たちの求める商品を開発する」ことから出発している。現在も、日生協はホームページ上で「組合員の意見に耳を傾けながら商品の開発をし、組合員に提供(注3)」するのがCO・OP商品であると述べている。これは通常の小売業者のPBの様に、すでに市場が出来上がっている商品を対象とするだけではなく、開発の過程から組合員の声を反映させ、新しい商品と市場を創出することを理想としている。ミックスキャロットはこの理想に忠実たろうとし、多くのアンケートを行い、これによって組合員を商品の開発に巻き込むことに成功したのである。
  また、組合員を巻き込んだ商品開発は販売・消費の場面でも大きな意味を持つことになる。アンケートを通じて商品開発に関与したと感じた組合員は積極的に周りに「ミックスキャロット」を紹介していった。また、生協としても「効能を自ら語らない(注4)」をコンセプトに、組合員同士の語り合いの取り組みを進めていった。飲料としてだけではなく氷菓やヨーグルトへの利用などの、多様な使い方(炊き込みご飯にしたり、シャーベットにしたり、カレーに入れたり)が、積極的に交流された。組合員視点にたつことで、徹底した体験マーケティングを行うことになり、結果的に積極的な口コミに繋がったのである。さらに、実際に生協の職員が販売する際も、開発に組合員がコミットした過程や、消費の現場を「モノ語り」として伝える事ができたのである。

3.ミックスキャロットの特殊性 ―CO・OP商品の強み―
  以上のように、「ミックスキャロット」の開発において、組合員の声を聞くというアンケートが大きな役割を果たした事が明らかになった。しかし、組合員の声をキチンと聞いたからといって、必ずしもヒット商品が作れるわけではない。次は、ミックスキャロットが生協最大のヒット商品と呼ばれるようになった背景を、開発過程からはなれて製品面と市場面から考察してみよう。
製品面~製品ライフサイクルから見た特殊性~
  製品の一生(ライフサイクル)は、図①のように市場に始めて登場する導入期から成長期、成熟期、そして衰退期という過程で捉えられる。一般的なPB商品は、製品のライフサイクルにおける成熟期から衰退期にかけての製品を対象としている。なぜなら、PB商品は既に一定の市場規模を持つ商品を相対的に低価格で、かつ大量に販売する事で利益を上げるシステムだからである。PB商品を導入期から投入する事は、海のものとも山のものともつかない製品への投資を意味し、トレンドを自ら作りあげる事で競争に勝ち残るという戦略をとるアパレルやファションのような業界を除けば失敗のリスクが非常に大きい戦略である。
  しかし、先に述べたようにミックスキャロットは通常のPBと異なり、導入期に誕生した製品である。野菜・果汁混合飲料消費市場という存在を自ら創出し、そこで先駆者として確固たる地位を築いたのである。この他にも「だしパック」などの代表的なCO・OP商品の多くが導入期からPBとして投入された商品であり、生協が他に先んじて開発した製品である。
  では、なぜ生協がこのような商品を最初に開発できたのか。そこでは、組合員の声が大きな役割を果たしていたと考えられる。導入期の市場は未開拓であり、ある意味ではニッチ市場である。このような場合、商品化の検証のためにも、消費者の声という具体的な現実との突合せが必要である。近年、大手流通小売業のPBでも消費者のニーズを商品開発に繋げようという動きがあるが、この点に関しては生協に一日の長がある。共同購入という口コミが波及しやすい環境や、学習会などの様々な企画、そして消費者として意識が高い組合員という基礎によって支えられる生協は、一般の流通小売業に比べて、はるかに消費者に近い存在なのである。「ミックスキャロット」はこのような生協の強みを存分に活かした製品開発によって、市場の導入期から高い地位を確保する事に成功したと言える。
  市場面~健康志向と組合員構成へのマッチング~
  市場についてはどうだろうか。当時は健康飲料ブームであり(スポーツ飲料の先駆け「ポカリスウェット」もこの時期に開発されている)、子供に限らず多くの層に健康飲料として受け入れられる余地があった。
  また、生協が対象とする市場は、組合員市場であり、意識面やその構成において特殊性を持っている。例えば、当時の生協の組合員構成において子育て世代の占める割合が大きい。これは「子供向けの野菜飲料」というコンセプトのターゲットとなる層が、生協組合員全体の中でも大きなボリュームであったことを示している。つまり、「子供向け野菜飲料」が組合員のニーズのごく一部なのではなく、商品化すれば購入が見込まれる層が大きかったということである。

4.CO・OP商品開発の今日的課題
  生協の強みである組合員の声に基づく製品開発プロセスをたどった点、野菜・果汁混合飲料という市場が存在していなかったため競争相手がいなかった点、そして社会情勢と市場の変化にマッチしていた点が「ミックスキャロット」の成功の背景にあることが明らかになった。しかし、ミックスキャロット開発から今年で27年が経ち、市場も、そして生協自身も、大きく変化している。この変化を受けて、生協の商品開発の今日的課題は何なのかを最後に考えてみよう。
  変化の一つ目は組合員の変化である。日本生協連の「ミックスキャロット」の開発担当者であった兼子厚之氏によれば、開発当時のアンケート回収率は80%近かったそうだが、80年代・90年代と時代を経るにつれて徐々にアンケートの回収率が低くなってきたそうである。また、当時は単協のバイヤーが組合員の声をキチンと把握していたが、各単協の規模が拡大するにつれて、単協が独自に情報を収集する事が困難になってきたと言う。この背景には、子育て世代の高齢化や単身世帯の拡大、個別配達の拡大などによる組合員意識の変化があるものと考えられる。加えて、90年代に長期不況化や00年代以降の構造改革に伴う格差の拡大によって、組合員の低価格志向が強まっている。
  これに拍車をかけているのが、変化の二つ目である競争相手の変化である。「はじめに」で述べたように、大手流通小売業もNB商品の価格上昇を受けてPB商品のラインナップを拡大しつつある。この結果、CO・OP商品の価格比較対象がこれまでのNBトップブランドではなく、「セブンプレミアム」や「トップバリュ」といった競合企業のPBへと変化したのである。大手流通小売業のPB商品は、その販売規模と高い知名度に支えられる信頼性を武器に、市場に急速に浸透しつつあり、生協の強力なライバルになってきている。
  変化の三つ目は生協それ自体の変化である。80年代に組合員数、事業高がともに急速に伸び、90年代も事業高は横ばいだったが、組合員数は拡大していた。このような生協陣営全体の巨大化が、生協の在り方に変化をもたらしつつある。事業連合化の動きもそれに拍車をかけている。このような変化を受け、生協の商品開発そのものの性格も大きく変わってきた。例えば、事業規模の拡大に伴って日本生協連が取り扱うボリュームも拡大している。しかし、共同購入では欠品は許されない。つまり、ある程度の生産キャパシティが確保できない商品――特定の産地の原料だけを用いた商品など――の取り扱いが困難になっている。このように商品化のハードルが以前よりも高くなっているのである。
  では、これらの変化の中でもCO・OP商品開発において、生協が考えなければならない点は何だろうか。「ミックスキャロット」の事例から考えられることは三つある。一つは、生協の独自性である組合員の声を聞きやすい組織・流通システムを自覚的に活用することである。実際、「ミックスキャロット」が拓いた市場に後発として参入してきたカゴメや伊藤園が市場に受け入れられるのには、実に10年近い歳月がかかった。またカゴメは、現在生協の共同購入などを通じた意見を商品開発の参考にしていると聞く。生協組織の規模の拡大や、組合員の意識の変化もある中で、かつてのようなアンケートや、バイヤーによる情報収集だけでは限界があるだろう。それでも、組合員の独自のニーズがなくなったわけではない。他の流通小売業と区別される生協の強み、すなわち組合員という資産を積極的に活用する方法を模索していく必要があるのではないか。
  二つ目は、より戦略的なPB開発戦略の策定である。今回取り上げた「ミックスキャロット」の開発のプロセスを全ての市場に適応することは不可能である。特に、ガリバー的存在がいる市場においてはいっそう困難であろう。つまり、大手流通小売業者や大手メーカーと競うべきPB商品開発と、それ以外の――より創造性を要求される――組合員の声に基づいたPB商品開発の二つを追求する必要があるのだろう。残念ながら、PBとしてのCO・OPブランドは、食品偽装問題や冷凍ギョーザ中毒問題によって信頼感を損ねてしまった。とはいえ、これまでの生協の活動が全て否定されたわけではない。ブランドとしての「CO・OP」の核は何かを見つめ直し、NBや他社PBの後追いではない、独自性も追求し続ける必要があるだろう。
三つ目は、組合員の声に耳を傾けるのと同時に、生産と消費の現場を結ぶという流通の役割を改めて意識することである。取引先との信頼関係の構築に留まらず、生産と現場を繋ぐことで生協独自の社会的な役割を果たすことが出来るだろう。特に、昨今の「食」への不安をもたらした食品偽装問題の多くは、生産現場と消費現場の乖離によって、生産現場のモラルが低下した場合に起こるケースが多い。また、消費者が生産現場を知らないことから、消費者自身が過度な低価格志向に走ったり、問題が起こった時には余計に不安が助長されてしまう結果になる。「ミックスキャロット」はパッカーであるゴールドパック社と、開発動機や目的といった理念を共有した共同開発を行うことで、安全性・味・品質・価格にこだわることのできる商品となった。また、ゴールドパック社の工場で働く社員も地元生協の組合員であり、自分たちの作るものが自分たちのところに商品としてやってくることをよく知っている。これこそ、取引先との信頼構築だけでなく、生産と消費の関係構築に成功した事例だろう。単純に、安くて良い商品を作り、安定的に供給するだけでなく、生産現場と消費現場の協同を仲介する事こそが、今日の生協に求められている役割なのではないだろうか。

注1) 日本生活協同組合連合会ホームページ,コープ商品の歴史、〈http://jccu.coop/goods/loyalty/history/index.html〉、(2008年6月4日)参照。
注2) 同上。
注3) 日本生活協同組合連合会ホームページ,コープ商品の考え方、〈http://jccu.coop/goods/loyalty/summary/index.html〉、(2008年6月4日)参照。
注4) 筆者が行った開発担当者であった兼子厚之氏へのインタビューより。
                  (かがみ たいき)