『協う』2008年4月号 生協の人・生協のモノ


エフコープにネットショッピングの開設をめざして


谷口  孝 (エフコープ生活協同組合)

 

 私が共同購入地区担当7年を経て、新規事業立ち上げの専門部署 「新事業企画推進部」 (現在は 「無店舗運営部」) に配属されたのは2004年の4月でした。
  当時エフコープでは、共同購入の商品をインターネットで注文するしくみはありましたが、本格的な 「ネットショッピング」 はありませんでした。そこで私は新事業としてネットショッピングの環境づくりを提案したのですが、何も分からない手探り状態からの出発でした。
  その際、先進事例から学べということで、コープみやざきがおこなっていた㈱トーハン (書籍取次店) が管理する 「e-hon」 を利用したサービスを教えていただき、「FCO・OP BOOK &CD/DVD SHOP」 を開設しました。これは、組合員が自宅のパソコンもしくは携帯電話から、趣味趣向にあった本・CD・DVDを注文し、生協の配送ルートを通じて購入できるというサービスです。2007年度には、組合員総登録人数1万人強、事業高4千万円弱となり、組合員から好評を得ています。


安心してご利用いただくことを願って
 

 この事業を始めるにあたって検討したのは、「組合員に喜んでいただくサービス」 と 「安心してネット注文できる環境の提供」 でした。
  サービス導入当時は、インターネットは普及するもののネットショッピングの体験者はまだ多くなく、ネットでの詐欺や事件が、新聞・TVなどで聞かれない日はないという状況でした。
  組合員への 「事前アンケート」 でも 「直接クレジットカード番号を入力したくない」 というネットショッピングに対する不安の声が多く、また、組合員が本を購入するのにも近くに本屋がなく、都心部の大型書店まで出かけたり、広い店内を子ども連れで苦労して探すという状況もわかりました。
  生協が扱うことで、インターネットを使って気軽に安心して利用したいと願っていた組合員が抱えるこれらの問題を解決するだけでなく、共同購入の配送や店舗を利用することで、購入額・数に関係なく送料無料で、全品5%OFFを実現するものとなっています。
  通常、「e-hon」 では、消費者が一般会員登録を行った上で注文して、最寄りの書店で受け取る (購入する) ことになっています。 「FCO・OP BOOK &CD/DVD SHOP」 では、生協がトーハンと提携することで、組合員は 「e-hon」 にエフコープ法人会員登録で注文し、トーハンから生協の物流センターを経由し、そこから各支所・店舗に配送され、共同購入・個配の配達や店舗渡しで組合員に届くしくみです。支払いも他の商品代金と同じ口座からの引落しです。
  システム開設当初は、「e-hon」 のシステムが組合員に理解いただけずに起こったトラブルもありましたが、現在では登録時に 「ネットショッピングの利用上の注意点」 「品切れ商品の再入荷のお知らせメール」 を独自メールでお知らせすることなどで、より分かりやすい、利用しやすいものへと改善をはかってきました。また、トーハンに対しては、組合員の 「声」 をお知らせすることで、サービスの改善にかかわる提案を行い、日々連絡を取り合いながら、ともに組合員に喜んでいただけるサービスをめざしています。

今後のネット社会に向けて

 インターネットは、消費者や生協にとって今後ますます重要なものとなります。共同購入・店舗に続く販売チャネルになるだけではなく、個別配達が増え、生協と組合員、組合員どうしのコミュニケーションが減りつつある今、生協がかかえる問題を解決できる新たなコミュニケーションツールとなる可能性をもっています。
  私は、生協が 「BOOK&CD/DVD SHOP」 を開設することで、組合員が24時間お好きな時間に簡単に安心して本を注文でき、組合員とその家族にも、生協の配達を待つ新しい 「楽しみ」 を提供し、生協をより身近に感じて欲しいという思いを持ちながらこの事業に携わってきました。これからもそうした思いを大切にしながら、また、そうした生協像をつくりあげるためにも、このサービスを広く組合員に、また他生協に伝えていきたいと思います。