『協う』2007年8月号 特集2
くらしと協同の研究所「研究会」レポート
特別研究会「くらしの調査プロジェクト」
組合員のくらし「今」を知る
プロジェクト代表:玉置了(近畿大学講師・当研究所運営委員)
「プレ」 プロジェクトとしての研究会活動
このプロジェクトの目的は, 組合員のくらしの今をリアルにとらえた上で、 それが今の生協の事業や活動とマッチしているのかということを検討することにあります。 現在のところはそうした調査の可能性や問題意識を探るために 「くらしの調査プレ・プロジェクト」 として予備調査を目的とした活動を行っています。 そして、 今年後半からは本格的な調査を行い、 大規模なアンケート調査やいくつかの付随的な調査を実施し、 最終的には2008年度末を目標に成果としてまとめる予定です。 プレ・プロジェクトは、 玉置 (30歳) と20代半ばの生協職員 (6名) を中心にメンバーが構成され、 加えて経験豊かな生協職員数名のバックアップを受け、 議論を進めています。 メンバーのほとんどが生協職員であり、 自主参加という形で取り組んでいます。 このプロジェクトでは、 生協の事業や活動と組合員の生活の現場に根ざした成果が求められており、 いわば既存の生協的な価値観や机上の発想ではなく、 革新的で豊かな発想、 そしてより組合員の生活感覚に近い発想に基づく調査と成果をという研究所の期待から、 こうした若くかつ自発的な参加という特徴をもつメンバーで構成されました。
研究会の現在の問題意識
プレ・プロジェクトはまず、 メンバーが配達や店舗での現場で組合員の方々と接することで感じた今の組合員の様々な姿を語り合うことから始まりました。 テレビ番組の影響のすごさをはじめ、 日々の食事は節約しつつ、 美容には奮発するという心理、 ある食品の容器や切れ端を捨てるのが面倒だから買わないという心理、 環境への意識は高いけれど包装が綺麗でないと今ひとつ美味しいと感じない・満足できないという心理、 班のメンバーの購買行動に大きな影響を及ぼすカリスマ的な組合員の存在など、 様々な組合員の姿が紹介され、 ざっくばらんな雰囲気で問題意識の共有がはかられました。
現在の問題意識は、 今の組合員の安全・安心、 地球環境の維持に対する意識、 消費生活の中での楽しみや華やかさを求める心理が、 消費生活のどのような部分にどのような形で現れるのかということ、 世間に溢れつつある情報をどのように生活に活用しているのか、 生協が発信する情報をどのように受け取っているのかということを調べたいという問題意識にまで展開してきています。 生協の組合員であっても、 安全・安心や地球環境の維持を追求するだけでなく、 冒頭にも述べたようなくらしの楽しみや華やかさを求めて日々を生活し、 その中で安全・安心の生協を利用しているのが現実のようです。 こうした、 組合員の今のくらしのニーズを知ることは、 全てのニーズに生協が応えるかどうかは別にして、 生協の事業・活動に、 また組合員のくらし自体に必ず役立つであろうと本プロジェクトの関係者は考えています。
今後に向けて...
今後は予備調査として、 少数の組合員の方々にアンケートやインタビューという形で調査のご協力をお願いし、 これまでの研究会の議論の発展と本調査に向けた活動の設計を進める予定です。 本年後半から来年にかけて本調査が始まりましたら、 会員生協と組合員の皆様にも調査のご協力をお願いすることになるかと存じます。 その際は、 当調査の趣旨をご理解いただきご協力をいただけますようよろしくお願い申し上げます。