くらしと協同の研究所
第13回総会 議案書
はじめに ― くらしと協同を取り巻く動き
1990年代以降の日本は、明治以来の「近代化」「キャッチアップ」の終焉とその後の展望を模索する時代に入った。21世紀に入って早5年を経過しつつあるが、日本の経済社会は「ポスト『失われた10年』軌道」を見出すことなく彷徨しつづけているかのように見える。確かに、中国経済の急成長とデジタル景気に助けられて企業業績は上向き、金融危機はほぼ遠のいた。しかしその一方で失業率は高止まり、非正規雇用が急速に広がっている。地方都市の空洞化、衰退は止まらない。三菱、西武といった日本を代表する企業で不祥事が相次ぎ、「日本的ガバナンス」が問われる一方でライブドアのニッポン放送のっとりに見られる公然としたマネーゲームが始まっている。『株式会社日本』あるいは『土建国家日本』はいまやアメリカ型の自由競争社会へ大きく舵を切ったかのように見える。
中曽根以来の長期政権となった小泉内閣は、まさしく日本を新自由主義的な競争社会に転換することでこの低迷状況を切り抜けようとしている。「日本を変える」と豪語する小泉「構造改革」路線はあらゆる分野に民営化や規制緩和の流れを広げており、日本の経済社会をより深くグローバル資本主義に巻き込んでいる。教育分野では幼児教育から高等教育まで、民営化や学校選択制、大学区制、競争的資金への依存が強められている。金融分野では護送船団といわれた銀行保護行政が終わり、ペイオフの実施、巨大な公的金融機関、郵貯の民営化が進められている。大店法や農業分野での保護政策の廃止、公共事業の縮小は、非効率ではあったが社会の隅々にあった見えざるセーフティネットを壊し、他方で規制緩和によって生まれたビジネスチャンスを生かす新たな起業家や企業群も生まれている。
日本社会の競争社会への移行は早くも格差化社会への移行を示し始めている。所得格差が広がりつつあるだけではなく、学歴、職業、所得によって規定される階層性が広がり、階層の再生産構造が生み出されてきている。「一億層中流」はもはや過去のものとされ、「ビンボー」や「負け犬」が嘲笑され、「セレブ」や「勝ち組」がもてはやされる風潮が広がっている。こうした風潮は一方で「勝ち組」やその志向者の体制支持、「自由競争」を賛美するイデオロギーを支えつつ、他方で「ナショナリズム」や古い共同体志向も生み出している。有事立法や改憲論議、イラク派兵など、戦後日本の平和主義がいとも容易に突き崩されつつある。サッチャー政権やブッシュ政権の場合と同様、「新自由主義」はそれが生みだす「不安定な社会」の対応として、ナショナリズムや家族主義、共同体主義を必要とするものである。
「競争社会」への移行は一面で既得権益への「たかりの構造」とぶつかるだけに、今日の政治的政策的対抗軸は多様である。小泉政権は既得権益との衝突という点で国民の喝采を浴びて「保守本流」と対抗し、ナショナリズム、家族・共同体復古イデオロギーによって広範な保守層と結び、保守本流にあった「専守防衛・軽軍備」路線と決別しようとしている。
失われた10年は、労働運動や革新政党などこれまで反体制の展望をリードしてきた社会運動にとってもそうであった。混迷する日本の経済社会の構想力ある展望を示しえないまま、ずるずると国民的支持を失いつつある。とはいえ、成熟した市民社会に向かう芽もまた見逃すこともできない。個人情報保護法や消費者基本法の成立と施行、CSR(企業の社会的責任)への広範な世論の支持と主要企業でのそれへの対応、曲折はありながらも避けがたい地方分権への動き、NPO・ボランティアの定着、「韓流」に代表されるアジア諸国の人々との屈託ない交流、等々である。協同組合は、個々人が自らの利益を追求するとともに、協同して社会とコミュニティの課題を解決していく場として、こうした市民社会形成への道を確かなものするさまざまな取り組みが求められている。
(第1号議案)
2004度 活動のまとめ、会計報告
1.
全体のまとめ
2004年度は、研究会を基礎に、くらしと協同、生協運動の諸課題をテーマとした研究・調査活動の充実をめざしました。また、こうした研究を深める契機、発信の場として、シンポジウムやフォーラム、セミナーなど位置づけてすすめました。
第12回総会記念講演・シンポジウムは、第一線の研究者や実践家の協力を得ながら、あらためて「いま協同することの意味」を、現代社会の事象から読み解くとともに、様々な分野で試みられている協同の取り組みから、生協に期待されていることを深める企画としました。また、分科会は、生協の直面する課題により踏み込んだテーマとすることで、生協関係者をはじめ、生協運動に関心や関わりをもつ会員、研究者に、様々な立場、角度からの議論の場を提供する企画としました。これらの記念講演・シンポジウム、分科会の全体をとおしての参加者の満足度も高く、好評を得ることができました。また研究会、研究活動との関わりにおいても、くらしや協同の課題を深める契機となり、特に分科会については、既存の研究会の調査や研究の成果を反映させるとともに、あたらしく設置する研究会のスタートの契機とすることも出来ました。
研究フォーラムは、「生協の現段階をめぐる課題」をテーマの特別研究会や自主研究会からの報告をもとに、事業連合や生協運動総体についての議論を深める場となりました。各種セミナーも、こうした研究会や研究委員の参画・協力を軸に、内外の研究者、実践家の協力を得て、生協をめぐる課題、社会の変化などについての研修・研究を深める機会として開催することが出来ました。
このように、生協と協同をめぐる課題については、研究会活動と様々な研究企画の中で、継続的に取り組むことができましたが、その一方で、くらしをめぐる課題での研究会活動や系統的な調査・研究は一部を除いて十分とはいえません。社会や暮らしを支える基盤が大きく揺らぐ中で、ライフスタイル(家族や消費行動、就業のあり方)や人々の意識、地域社会の変化などをとらえる研究や研究グループの基盤をつくることが求められています。
(1)
特別研究会
(2) 自主研究会
①
生協職員論研究会
(ア)『生協職員論の探求』(97年)に次ぐ第2弾の出版に向けてほぼ毎月研究会を開催してきました。
(イ)新たなメンバーの参加を得て、出版にあたっては大学生協、事業連帯における職員論を加えて各メンバーの持ち味を生かせるような分担と構成を試みた。
(ウ)刊行前後に合評会をかねた公開シンポを開催し、内外の交流をはかり、託すべき課題を析出する機会とする予定です。
②
生協と福祉研究会
(ア)年度途中の2ヶ月間は、研究会代表の入院もあって例会活動がストップしましたが、その後は新たなメンバーも加えて、生協だけでなく農協や社協、NPOなどを含む広い視点から議論を重ねることができました。
(イ)特に、都市部のワーカーズ、農村のJAなど地域特性やイタリアなどのケースも検討されたことも特徴でした。
③
現代生協研究会
(ア)今年度は、前年度までの研究の中間報告書として、04年4月に「現段階の生協事業と生協運動」を発行し、幾つかの反響が得られました。
(イ)9月に開催された第1回研究委員会では、中間報告書にまとめられたこの間の研究成果をもとに、「現代生協の類型化」についての報告を行いました。
(ウ) その後は。中間報告書の各自の研究まとめの相互認識を深めることに中心をおき、研究会としては独自の調査活動や研究会は特に開催しませんでした。
④
生協理論研究会
(ア)出版に向けて、共同購入(無店舗事業)の位置づけ、生活協同組合の理念や組合員像等々に関する論点の整理が進み、原稿の執筆が始まり、研究委員会において出版企画の一部を報告することができました。
(イ)研究成果の一部を発展させて第13回総会シンポジウム企画「進化する共同購入―生協の持続的発展への課題―」に貢献することができました。
(ウ) 2005年度第13回総会シンポジウムに向けた出版は実現できませんでしたが、新しい論点の整理や執筆も徐々に進んでいるので、2005年秋の出版を予定している。
(エ)また、年度途中からは、生協総合研究所と合同で、「現代生協のオーラルヒストリー企画」をすすめることになりました。(期間:約2年)
⑤
化学物質リスク研究会
(ア) ダイオキシン、環境ホルモンなど化学物質による環境汚染リスクの削減をめざし、社会システムづくりの方向性を考えるとともに、消費生活レベルにおける教育プログラム開発をすすめていくことをめざし、2004年度は以下のような研究課題を掲げて研究活動すすめました。
・
PRTRデータ等を活用したリスクコミュニケーションのあり方。
・
胎児をふくむ「子ども」の健康影響を重視した化学物質リスクの評価基準
・
「食物」「ごみ」などの個別具体的なテーマもひきつづき深めていくようにする。
・ 「家庭系有害廃棄物」の調査研究については、ひきつづき京都市ごみ減量推進会議調査研究助成事業の対象にすることができた(事業主体:コンシューマーズ京都10万円)
(イ) 研究会は6回開催し、研究会内外の方から話題提供や報告をうけ、それにもとづく討議をすすめました。
(ウ) 研究成果として
・ 啓発パンフ「家庭からでるやっかいなごみ」を発行
(編集発行:コンシューマーズ京都:4000部、日本環境協会「藤本倫子基金」の助成により発行)
・ 調査報告書「蛍光管の適正処理のために」を発行
⑥
ひろしま地域研究会
(ア)この1年は、個別の調査活動(生協しまね「おたがいさま活動」調査)は行われましたが、例会の開催はありませんでした。
(イ)研究会としてのまとまった活動再開は、2006年度からとなる予定です。
⑦ えひめくらしと協同の研究会
(ア)
今年度は、協同組合論を学ぶこと(テキスト『現代生協改革の展望』)を中心にすすめました。
(イ)
研究例会は9回開催し、05年3月は「第2回春の研究集会」を開催しました。
(ウ)
例会、研究集会では、購買生協、医療生協の現実の諸問題について意見交換し、問題意識の共有化を図りながら、次の調査活動の方向性を論議してきました。
⑧
消費者法研究会
(ア)
「消費者法と契約のあり方」をテーマに研究をすすめました。
(イ)
研究会は6回開催し、毎回講師を招聘して学習をすすめ、消費者法の体系、とりわけ民法との関わりを深めることができました。個別法までは到達できなかったのでこの点は、2005年度のテーマとしていきます。6回の例会をふまえ、報告書をまとめていく予定です。
⑨
尾崎経済思想史サロン
(ア)
2ヶ月に1回平均で開催しました。
(イ)
この間は、イラク戦争1年、アメリカの大統領選挙結果、メディア・コントロール、在日米軍再編成などを切り口に「西洋的」歴史観を吟味してきています。
3.各種研究企画(シンポジウム、等)
(ア)今回は記念講演とパネルディスカッションの2部立てで開催しました。
(イ)記念講演では、生活協同組合における「協同」というのはどういう意味を持つものなのかについて、臨床哲学の立場から鷲田清一氏に「いま協同することの意味」と題した講演をいただき、パネルディスカッションでは、くらしの『今』から生協の未来設計を考えるために・・・ ―いま生協に何が求められているのか?―」をテーマに、より実践に即した「食のあり方とくらし」「住まいのあり方とくらし」「働き方とくらし」という3つの側面から問題提起をいただき、議論を深めました。
(ウ)分科会は、生協の直面する課題に踏み込んだ3つのテーマ(分科会)――《第1》事業連合のあり方を考える ―― 無店舗事業の改革のために/《第2》今の暮らしを考えるー生協パート職員の仕事と生活の中から/《第3》組合員の活動を考える ― これからの組合員活動のあり方を探求するために、――開催し、それぞれ活発な議論が行われました。また、第3分科会の議論は、その後の総括会議などをへて、特別研究会発足の契機とすることができました。
(エ)内容は、報告集「第12回総会記念シンポジウム」(研究所通巻41号、42号)にまとめました。
(2)研究フォーラム
報告① 「現段階の生協事業と生協運動」田中秀樹氏(現代生協研究会)
コメント 川口清史氏
報告② 「生協事業連帯研究会報告」二場邦彦氏(事業連帯研究会)
コメント 若林靖永氏
報告① 「現代生協運動の課題と職員の役割」
戸木田嘉久氏(生協職員論研究会)
コメント 根本 隆氏
報告② 「文化システムとしての生活協同組合 ― モダンからポストモダンへ日本型生活協同組合はどのように変容したか」
的場信樹氏(生協理論研究会)
報告① 「無店舗販売ー業態としての『共同購入』の危機と展望」
川口清史 氏(当研究所 理事長)
報告② 「大阪いずみ市民生協の『共同購入改革』」
藤井克裕 氏(大阪いずみ市民生協 専務理事)
(3)講演会
① イアン・マクファーソン氏を招いて講演会「世界の協同組合運動の現段階」(10/18)を開催しました。参加は、20名でした。
② 理事会開催と連動して、講演会「人口減少社会にどう対処するか ― 日本の経済と社会の新しい道」(10/18)を開催しました。参加者は50名でした。
講師:松谷 明彦氏(政策研究大学院大学教授)
(4)第6回生協女性トップセミナー(7/10-11)を開催しました。
・挨拶・話題提供:川口清史理事長
・講演1/生協に求められる役割~いわて生協の実践から
講師:加藤 善正 氏(いわて生協前理事長)
コメント:井上英之理事・運営委員
・講演2/事業連合段階の生協と組合員理事の役割
講師:二場邦彦氏(京都創成大学学長 当研究所理事・事業連帯研究会座長)
・9/4には、呼びかけ人による「まとめ会議」を行い、次回にむけての準備すすめることを確認しました。
・テーマ/「21世紀型生協論」をめぐって
・司会/的場信樹 氏
・報告/下山 保 氏 「購買生協論への試論」
コメント① 田中秀樹氏
〃 ② 小峰耕二氏
4. 出版物等、会員への情報提供
(1)『協う』編集と発行
①
10月号から、編集長が杉本貴志運営委員から上掛利博運営委員に代わりました。編集委員会は、引き続き2部制ですすめています。
新編集長 --- 上掛利博運営委員
(昼の部) 生協組合員中心
(夜の部) 研究者・大学院生中心
②
この間の企画
8月号/「総会記念シンポジウム」特集、ほか
10月号/「若者と生協」特集、ほか
12月号/「イタリア」特集、ほか
2月号/「再考 食と農」特集、ほか
4月号/「地球環境とくらし、地域」特集、ほか
(2)刊行物、ホームページ
刊行物をとおして、研究会および研究企画の成果を発信してきました。
① 研究所通巻冊子
(ア)第12回総会記念講演・シンポジウム(通巻41号)分科会(通巻42号)<9/30発行>
(イ) 第6回生協女性トップセミナー(通巻43号)<1/31発行>
(ウ) 生協事業連帯研究会報告書(通巻44号)<4/29発行>
② Discussion Paper
③ ホームページ
5.研究助成、講師紹介
①
姫路医療生協30年史編纂協力、同記念企画への協力
②
パルコープから、地域活動交流会(1/21)の講演要請があり、川口理事長が講演しました。
6.外部研究会への参加、研究会開催協力、研究所交流、その他渉外活動
①
地域と協同の研究センター「東海フォーラム」(7/26)参加
②
「ロレンツォ・サンドリ氏(イタリア社会的協同組合)招聘の京都企画」(8/2)
③
第14回生協総研全国研究集会(9/18)参加
テーマ/社会的責任経営と生協の課題
④
第24回協同組合学会(10/16-17)参加
共通論題/協同組合事業の子会社化とアウトソーシング(座長/増田佳昭氏)
⑤
「都市再生と社会的企業・ワークショップイン京都」(12/6)開催協力
⑥
日生協「全国政策討論集会」と21世紀コープ研究センター「21世紀型生協シンポジウム」に参加
(2)渉外活動
① ならコープ30周年記念式典(7/24)参加 川口清史理事長、ほか
② コープしまね20周年記念式典(11/2)参加
③
姫路医療生協30周年式典(1/15)参加
・浜岡政好氏(常任理事、運営委員)来賓挨拶
④ 通巻冊子等の送付とあわせて、研究所入会のお勧めしています。
7.機関会議、運営会議
〈理事会〉
第1回(12/20)/講演企画、「生協事業連帯研究会」最終報告、活動の進捗と今後の取り組みの報告
第2回(05.4/23)/総会議案検討
第3回(05.6/25)/総会議案、役員推薦の確認
〈常任理事会〉
第1回/12月5日、第2回/2005年3月25日
8.会員状況
(1)個人会員
・
2004年度の加入11人、退会21人で、会員数は200名(正会員190人、賛助会員10人)です。(2005年3月20日現在)
・
なお、今年度は3月20日をもって長期会費未納者の退会手続きをとりました。
(2)団体会員
・
入会が1団体で、退会は3団体でした。また、2005年度からの入会が2団体確定しています。
・
団体の会員数は、36団体(正会員29、賛助会員7)となりました。(2005年3月20日現在)
9.事務局体制
・
2004年度の研究所事務局体制は、以下のとおりです。
事務局長 清水 隆
事務局員 林輝泰、生田千春
客員研究員 久保建夫(非常勤)
院生事務局 名和洋人、玉置了、宮川加奈子(非常勤)
(第2号議案)
2005年度活動方針及び予算
1.
2005年度研究活動の基調
(1)くらしと社会、地域の分野では、経済のグローバル化や二極化、少子高齢化の進展のもとでの変化をとらえることが重要になっています。家族や家計・消費行動、就業などライフスタイルや地域社会・コミュニティの変化をとらえ、その変化の意味や見通しを解明することが求められています。
(2)
生協運動については現段階評価とともに、経済社会の変動と競走の激化・流通再編のもとでの生協の対応、人々の生活破壊への対抗軸として役割や機能について、現状分析や今後の見通しの解明が求められています。協同組合や非営利組織の動向把握や分析など、生協を含む協同(組合)運動の総体を捉えることも必要です。
(3)こうした「くらしと協同」に関わる調査・研究を、研究会(特別研究会、自主研究会)やシンポジウムをはじめとした諸研究企画、出版物などを通してすすめるとともに、そうした研究への個人会員や団体会員の構成員の積極的な参加・寄稿を呼びかけます。また、特別研究会は、理事会発のプロジェクトとして、解明する課題の確定や研究会のメンバーの配置を強めます。
2.研究会について
(3)
特別研究会
① (生協職員の)教育研修研究会
(ア) 研究会を継続します。研究期間は約1年とします。
(イ) 研究課題とテーマ
・ 今年度は、生協の店舗事業におけるパート職員の仕事力アップに焦点 を当て、そのための課題や方向性を明らかにします。
・ テーマは、「店舗事業における職員教育の刷新のために」(仮)とします。
(ウ) 研究成果は、会員生協を対象にした実践的な提言をめざします。
(エ) 研究会のメンバー構成については、会員生協派遣メンバーについては、経過と会員生協の意向を踏まえて必要な補充・再編を行います。研究者は、引き続き調査研究と提言へのアドバイザーとして、若林委員、杉本委員に加わっていただきます。
② (生協の)組合員組織と活動研究会
(ア) 昨年のシンポジウム第3分科会の総括を踏まえて研究会をスタートします。
(イ) 研究のテーマは「生協の組合員組織の現段階と課題」(仮)とし、現段階の生協の組合員組織の運営と活動、組合員の生協事業との関わりなどを類型化し、それぞれの展開の持つ意味や生協運営上の課題を明らかにします。
(ウ) メンバーは研究者と実践家(組合員、職員)で構成します。
(エ) 研究期間は2年とします。
③ 「くらしの調査」検討プロジェクト
(ア) くらしの調査の事業化については、引き続き検討をすすめます。
(2)自主研究会
① 生協職員論研究会
(ア)研究会は04年度に終結しますが、出版記念のシンポジウムは05年度に企画する予定です。
② 生協と福祉研究会
代表:上掛利博氏(京都府立大学)、ほか5名
(ア)05年度のテーマは「協同組合の福祉事業と福祉活動の関連」とし、介護保険のもとでの協同組合の福祉事業の特質を明らかにし、福祉活動と組み合わせることでの発展の可能性を展望します。
(イ)研究成果は、2006年6月総会記念シンポジウムで分科会を設けて報告(協同組合福祉の新たな可能性)したいと考えています。
③ 現代生協研究会
代表:田中秀樹氏(広島大学)、ほか8名
(ア) 研究テーマは、「現段階生協の存在形態の類型的研究と生協運動の展望」とします。
(イ) 中間まとめ(報告書)をふまえ、今後の調査計画を立て直す研究会を開催します。
(ウ) そこでの調査対象について、構成メンバー各自による機会をとらえた調査を実施していく計画です。
(エ) 将来的には報告書を完成することをめざします。
④ 生協理論研究会
代表:的場信樹氏(佛教大学)、ほか4名
(ア)日本型生活協同組合の可能性に関する研究をすすめ、05年度秋の出版を目指します。
(イ)出版は「『転換期の生活協同組合』以後の研究所活動を総括する試みのひとつとして、生協関係者だけでなく広く社会に問うことを出版の目的としています。
⑤
ひろしま地域研究会
代表:吉富啓一郎氏(広島県立大学)
(ア)05年度は休会とします。
⑥ えひめ・くらしと協同の研究会
代表:向井康雄氏(愛媛大学)、ほか9名
(ア) 05年度は、生協職員の意識調査(アンケート調査)、と引き続きテキスト学習をすすめます。
(イ) 研究の成果は、レポート、研究集会、その他で行います。
⑦ 化学物質リスク研究会
代表:原強氏(コンシューマーズ京都)、ほか5名
(エ) 昨年に引き続き、ダイオキシン、環境ホルモンなど化学物質による環境汚染リスクの削減をめざし、社会システムの方向性を考えるとともに、消費生活レベルにおける教育プログラム開発を目指します。
(オ) 2005年度の研究課題
・ PRTRデータの追跡調査
・ プラスチック廃棄物の適正処理の課題と問題点の整理
・ これからの化学物質規制の考え方についての論点整理
・ アメリカ環境NGO「CHEJ」との交流企画(主催:レイチェル・カー
ソン日本協会)への協力
⑧ 消費者法研究会
代表:松本修司氏(京都生協)、ほか5名
(カ) 「消費者の権利の」確立と消費者団体訴訟制度のあり方をテーマに研究をすすめます。
・ EUで実施している消費者団体訴訟制度と全国消費者団体連絡会がまとめた試案を比較検討しながら、消費者の権利確立のたもの消費者団体訴訟制度の未来像を考えます。
(キ) 上記の内容に沿った研究会を隔月に開催し、研究報告書を作成します。
⑨
尾崎歴史経済サロン
代表:久保建夫氏(当研究所客員研究員)
(ア)トピカルな話題を切り口にそのテーマの持つ歴史的意味を共有しあうサロンです。
(イ)尾崎先生から毎回話題の背景と意味を提示していただき、リラックスした雰囲気のなかでグローバルな視点から問題を出し合い、現代の歴史認識と個々人の生き方を考えます。
3.シンポジウム等、研究企画について
(1)総会記念シンポジウム
①
引き続き、年間の中心企画として位置付けます。
②
くらしと地域の変化、各研究会の到達を踏まえながら、くらし、生協、協同運動に関わる問題について取り上げます。
(2)セミナー等
① 第5回生協学識理事監事研究交流会
(ア) 生協の学識役員の問題関心に応えるものとして企画します。
(イ) 生協の学識役員経験者を中心に企画検討を行います。
② 第7回生協女性トップセミナー
(ア) 組合員理事・リーダーの問題関心に応え、役割向上につながるテーマ設定と運営を目指します。
(イ) 企画については、昨年の総括を踏まえて、企画づくりから運営までを、呼びかけ人を中心にすすめます。
③ 社会経済セミナー
(ア) 理事会開催時を中心に適時開催します。
(3)研究フォーラム
①
くらし、地域、生協の調査研究の発表・交流の場として、研究委員会開催時をメインにしながら、適時開催します。
②
運営委員会、企画委員会と事務局を軸に、研究委員の参画を得ながら、企画づくいりを行います。
4.会員への情報提供、講師紹介、研究助成等
(1)『協う』を、研究所と会員をつなぐ情報発信の柱として位置づけ、引き続き編集の充実に努めます。
(2)研究成果、諸企画の報告などを、通巻、Discussion Paperなど、出版物として会員内外に発信します。
(3)ホームページを、会員と研究所とつなぐ媒体として充実させます。
(4)講師紹介や研究企画などを通して、団体会員との連絡・連携を強めます。
5.研究所間の交流、提携
(1) 生協・協同組合関連の研究所、地域の多様な研究機関との交流を引き続きすすめます。
(2) 生協総合研究所との合同企画として、「現代生協のオーラルヒストリー企画」をすすめます。
①
くらしと協同の研究所の母体は生協理論研究会とし、同研究会の基礎研究として位置づけます。(研究成果の一部は「生活協同組合研究」(生協総研)に掲載されます)
②
期間は05年、06年の2年とします。
(1)
運営委員会、企画委員会を軸に、月次・四半期毎の具体化をはかり、研究所の日常活動を推進します。
(運営委員会)
毎月第3金曜18:30~(日程調整が必要な場合は前後週の金曜日)
(企画委員会開催月)
第1回 7月
第2回 11月 進捗報告と次年度方針第一次論議
第3回 3月 次年度方針原案検討
※
必要に応じて、1月開催も検討。
(2)
研究委員会
① 開催は年3~4回とします。
② 一部は「研究フーラム」として、研究会および研究委員による研究報告を基本に、諸研究の報告と交流をすすめます。テーマによっては、研究委員以外の会員参加もオープンにします。
③ 二部では、研究所の諸企画・方針の進捗や研究企画の報告・検討など行います。
④
研究委員には、定期的に生協・協同組合研究の成果や実践情報を提供することで、諸研究と生協研究の接点づくりを行います。
(研究委員会開催月)
第1回 9月
第2回 1月
第3回 3月
(3)
理事会、常任理事会、監事会
①
理事会は年4回開催します。
②
常任理事会は、理事会開催と合わせて適宜開催します。
③
監事会は年度最終の理事会前に開催します。
(理事会開催日)
第1回 6月25日(土) 理事長等の選出
第2回 12月24日(土)
第3回 4月22日(土) 総会議案
第4回 7月 1日(土) 総会議案
(4)
第12回総会・シンポジウム
2006年7月1日~2日《予定》
(5)
財政
①
引き続き、経費の効果的運用と圧縮に努めるとともに、受託事業や共同研究の拡大をめざします。
②
会員の拡大をはかり、財政の安定をめざします。